ヴォイス「喝!」 - 着物マスター山龍の激辛語録

ホーム ヴォイス

着物マスター山龍の「和-ism」語録

  • 房は下向き

    帯締めの房を上向きにするゆう決まり事は、なんの根拠もあらへん

    イメージ着付け教室に行くと、必ず帯締めの先は上向きにすると教わります。着付けの本も同じ。しかし、もともと房というものは、その形状からして、下向きにするものと、世界共通で決まっています。普段は上向き、お葬式では下向きなど、上や下の講釈そのものが、ハッキリ言ってナンセンス。

    「カーテンのタッセルが下向くか? 緞帳の房が下向くか? あり得へん話やな」

    言われた通りに房を上向きにして、房が爆発している方をよく見かけます。ファッションとしても美しくありません。そういう何の根拠もないウソが、当たり前に伝わっている事自体が、今日の着物のオシャレをダメにしているのでしょう。

  • 後方斜め45°からの視線

    着物姿を正面からジロジロ見る人はおらへん。みんなすれ違い様にチラッと見はる

    イメージ着物で街に颯爽と出かけると、やはり注目されます。着ている本人は、帯締めが曲がっていないかとか、衣紋の抜き具合はどうかとか、お太鼓の柄はきれいに出ているか……なんていうことを気にしているものですが、たいていの人は、正面や真後ろからではなく、すれ違い様に後方斜め45°から見ています。

    「脇腹のあたりのカラーコーディネイトができてないとダサイねん」

    実際に目に付くのは、太鼓の丸みと、脇からのぞく襦袢、帯揚げ、帯締めと帯のカラーコーディネイト。そこにいろいろな色がグチャグチャ入っていると、それだけで素敵に見えません。単品でなく、コーディネイトで色をまとめるように気を付けましょう。

  • 半襟と足袋は絶対に白!

    襟元と足下に白が来ることを前提に、作り手は着物のデザインを構築してるねん

    イメージ半襟と足袋が白、というのが正統派の着物の着こなしです。それができるようになってから、遊びやドレスダウンの発想で、色襟や刺繍のものを試すのもいいでしょう。しかし、それが着こなせるほどの達人は極わずか。何も知らないでやると、着崩しているのではなく、ただ着崩れているだけになってしまいます。

    「いい素材の着物には、白がスキッとしてかっこええ思う」

    作り手側から言わせて頂くと、せっかくいい素材で作られた着物が、襟元の柄によって台無しになるのはとても残念です。ましてや、刺繍やワンポイントの柄は、遠目にはゴミか虫にしか見えませんから……。

  • 着付けは難しくない

    着付けの学校なんかに行く必要あらへん!

    イメージ友達とちょっとご飯を食べに行ったりするときに、是非着物を着て欲しいと思います。そのためには、自分で着られないといけない。だから、着方を覚えましょう。1時間半のレッスンを2回……3時間で誰でも着物は着られるようになります。あとは着付けのDVDでもあれば大丈夫。だって、昔の人は学校なんか行かなくても、みんな普通に着てたんですから。

    「3時間のレクチャーで着れへん人は、よっぽどおかしいで」

    着付けには、チェックポイントが、男の人で5つ、女の人で12あります。それを覚えてしまえば、あとは慣れ。人に着付けてもらった着物は、ハタから見るとリクルートスーツのように不自然です。自分で着れば、キツさも調節でき、自分の体型に合った着こなしもできるようになります。何よりも、いつでも気楽に着物が着られる……それがいちばんですけどね。

  • いつものワードローブ感覚

    着物を着るというだけで気合いが入るから、着物にまで気合い入れんでいい

    イメージ着物は、そのディテールだけで、充分に“ドレス”です。だから、ことさら気合いを入れた柄や色を選ぶ必要はありません。いつも洋服を選ぶときと同じ感覚で選べばよいのです。常に黒を中心にコーディネイトしているのだったら黒っぽい濃いめの色を選ぶべき。

    「着物やから言うて、いきなりピンクとか着るさかいに、自分の顔がとってつけたみたいになるねん」

    着物も洋服も、基本は素材とカラーコーディネイト。着物だからって、難しく考える必要はありません。極力、自分のワードローブの中の色でコーディネイトすれば、自分も抵抗なく着られ、周りの人にも違和感がないのです。

  • こだわるべきは帯

    着物に合わせて帯を選んでる限り、素人のコーディネイトから抜け切れへんよ

    イメージ着物はどんな着物を着るかではなく、どんな帯をするかで決まってきます。一般に、着物を選んだ後、それに合う帯を選びますが、それは逆。着物の装いに高級感を出したり、品格を出すのは、帯なのですから。いい帯を選べば着物はいくつでも揃えられますが、いい着物を選んでも、それに合う帯は少ないのです。

    「着物を着たことない人は、帯をベルトぐらいにしか思ってへん」

    着物と違って帯は面積が少ないので、アップの鑑賞に堪えられるだけの柄や技術が凝縮されています。着物は、広い面積に分散されるから、アップには堪えられない。人と対面して座ったとき、目立つのはやはり帯です。呉服屋さんは、着物を売りたいから、着物から勧めるけれど、予算の中の8〜9割は、絶対に帯にかけるべきなのです。

  • 凛とした佇まい

    着物の生活をすれば、自然と身のこなしも変わりはる

    イメージ例えば、一度も着物を着たことがない10代の女の子が初めて着物を着たとき、頭に浮かぶイメージは、たぶん時代劇のワンシーンぐらいでしょう。その程度の知識しか一般的にはないからです。しかし、何度か着ていく内に、着物のことが知りたくなり、いろいろな知識を得たくなります。これが自己啓発、向上心。

    「向上心の無い人は、なんぼ着物着たかて素敵にならへん」

    ファッションブランドの知識や情報に敏感になるのと同じに、着物の知識と経験を積み重ねていくと、自ずと自己表現が磨かれます。日本人らしい、凛とした佇まいが生まれます。内面から醸し出される自信と身のこなし。

    日本人としてどう生きていくか? ……そんな考え方の中に、“着物を着る”ということは、絶対に入っているべきだと思います。

  • 自分の生活ペースを守る

    自分の生活ペースをコントロールできひん人に、着物は有効な小道具やねん

    イメージ今、我々は日常の中で、常に環境に合わせて生活しています。時間がデジタルになり、情報が氾濫し、全てがスピードアップしている現代では、自分の生活のペースというものを守るのが、とても難しいのが現状。みんな時間に追われて忙しいという強迫観念を持っています。そこで、着物を着てみる。

    「着物を着ると、行動が拘束されるさかいに、周りに合わせることを諦めれるんよ」

    突然電話で遊びに呼び出されても、ひょいひょい行かずに、気分の時間を作るようになる。自分の時間やペースを守るための小道具として、着物はとても有効です。

  • 街に映える着物

    庭園でなく、都会の風景に映えなあかん

    イメージ昔の着物の背景は、日本庭園や野山があり小川が流れる田園風景でした。しかし、今の日本の都市には、土の道なんてありません。背景のほとんどが、ビルのコンクリートやアスファルトのグレーを基調としたもの。

    「派手な色の組み合わせは田んぼでは華やぐけど、都会で見たら何事かいな思うね」

    グレーの背景に似合う着物は、間違いなく絹真綿……紬です。先染めの織物である紬は、地味なイメージがありますが、着物はデザイン自体がフォーマルなので、それだけで目立ちます。目立つのに、ことさら必要以上に柄や色を入れなくても、シャキッとかっこよく見える着方。都会に映える着物の着方を伝えていきたいと思います。

  • 立って美しく見える着物

    21世紀の着物は立って美しく見えなあかん

    イメージ着物のほとんどは、上前、右袖後ろ、左袖前というように柄の入る位置が決まっています。それは、お座敷衣装としての決まり事。お座敷に入るとき、右斜め 45度に座って、両手で障子を開けたときにお客様に見える右袖後ろ、入ってから障子を閉めるときに見える左袖前。そして、お客様の前に座り、三つ指ついたときに見える、膝頭、胸元……つまり、お座敷衣装としての着物は、正座して畳から首までの2尺(約80cm)の間で見せるために作られているのです。しかしは今の生活では、そんなシーンは特別。家に座敷がない、正座しない、三つ指つかない……。

    「今の着物に、膝頭の柄はいらんねん」

    立って美しく見えるには、帯の位置が高く見えることがポイント。下の方に柄がごちゃごちゃとあると、目線が最初にそこに行き、そこから上に行くため、目の錯覚で下半身が短く見えます。だから、Vゾーンで柄を見せ、下には小さな同色系の柄を入れる。これが、今美しく見える着物なのです。

  • 着物は花瓶

    着る人が花、着物なんて補助道具の花瓶でしかあらへん

    イメージ着る人を花とするなら、着物はあくまでも花瓶にすぎません。一輪挿しの花瓶です。同じ花瓶でも、タンポポを挿すのと、ユリを挿すのでは、当然見え方が違ってきます。花によっては、ごちゃごちゃと華美な装飾を施した花瓶より、素焼きの素朴な花瓶に挿した方が映えることもあります。

    「いくら着物が立派でも、似合わへんかったら意味あらへん」

    肝心なのは、花瓶である着物が立派なこと、よく見えることではなく、いかに花がよく見えるか。着物を着こなすというのは、そういうことなのです。