山龍ブログ - 誰にも文句言わせへんで!コラム

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  • 時事
    昨日に続く

    時事
    昨年終盤以降、個人消費はサービス業を中心にそこそこ堅調です
    第3次産業活動指数で個人サービス業の業況の推移をみると、特に、昨年終盤以降、「嗜好
    型個人サービス業(余暇や娯楽、外食など)」の改善が堅調なのが分かります(図表1)。




    この消費関連サービス業の回復には2つ理由があり、1つめは、可処分所得の増加です
    統計の改竄疑惑があった厚生労働省の「毎月勤労統計」ではなく、家計調査における
    勤労者世帯の可処分所得をみても、昨年から増加基調が強まっていることがわります
    ただし、可処分所得の増加の割に、消費支出の増加テンポは‟極めて“緩やかです(図表2)。





    そこで、GDP統計の個人消費の内訳データをみると、2017年頃から耐久消費財やサービス
    の消費は順調に回復している一方、非耐久消費財(食費、光熱費、家庭用消耗品、新聞・
    雑誌・書籍)の消費は逆に減少を続けています(図表3)。家計は非耐久消費財購入に代表
    される基本的な生活コストを節約しつつ、余暇・娯楽サービスを享受するという、ある種の
    「工夫」をしているのではないでしょうか





    また、2016年から2017年にかけて、2014年4月の消費増税後に急低下した「ファースト
    フード産業」の活動指数が加速度的に上昇しています
    この2016年から2017年にかけては、労働参加率も加速度的に上昇し始めた時期でもあり
    若者を中心に無業者が再び労働市場に参入し、雇用環境の改善ペースが加速した時期に
    ファーストフード業界は見直されたことになります
    若年単身層の中で、比較的コストの安いファーストフードを夕食にするケースも増えて
    いると聞き、ほぼ同時期からゲームソフト業界の活動指数も加速度的に上昇しています
    (図表4)。





    ちなみに耐久財消費ですが、自動車販売や家電の売れ行きなどを考えると、実情は「情報
    処理装置」に分類されるスマホやタブレットの購入が大きく寄与している可能性が高い
    と考えられます。また、これと関連するが、人々が生活する上での情報入手径路にも大きな
    変化があらわれていて、右肩上がりのインターネットサービスと対照的に地盤沈下が止ま
    らない新聞・雑誌という構図です(図表5)。





    特に、新聞・雑誌は、2014年の消費増税以降、業況の悪化ペースが加速した感があります
    新聞は軽減税率の対象になるためか、消費増税には寛容な報道が多いのですが、皮肉にも
    消費増税によって消費者からコスト削減の対象として見放されつつあるのがわかります
    このように考えると、デフレの長期化にともなう節約志向の恒常化で消費構造が従来とは
    大きく変化していることが統計にもハッキリと現れています

    消費の工夫という点では、消費性向の動きも興味深く、2014年4月の消費増税実施以降、
    下げトレンドに転じましたが、その中でも、2014年11月、及び、2016年6月の2度、
    急低下する局面がありました(図表6)。





    この2つの局面はいずれも、安倍総理が次の消費増税見送りを発表した月にあたります
    消費増税実施によって、それまでのアベノミクス開始以降の消費性向の上昇がピタリと
    止まったことから、この2度の消費増税再延期によって、将来の国家債務不安(もしくは
    社会保障不安)が高まって消費性向が低下(逆に貯蓄率が上昇)したというのは当てはまら
    ないと思います。むしろ、2回とも、近い将来の消費税率引き上げを条件付で約束するもの
    であったため、将来の増税に備えて節約志向が高まったということ判断するのが妥当です
    もし、そうであれば、今回、消費増税を再々延期したところで、それによって消費性向の
    上昇をともなう個人消費の回復が実現するとは考えにくく、むしろ、現在の微妙な景気状況
    の中での消費増税の先送りは消費者の節約志向をさらに強めることにもなりかねません
    そう考えると、今回、消費税を上げても上げなくても消費に与える影響にそれほど大きな
    差はないのかもしれないとなります(ちなみに途中、消費性向が下げ止まる局面が何度か
    ありましたが、いずれも株価上昇局面です)。
    特に、今回の消費増税は、幼児教育・保育の無償化をはじめとした社会保障の拡充に紐付け
    られている点が悩ましいというか、狡猾さを感じます。そのため、いざ消費増税を見送ろう
    となると、増税賛成派は「社会保障の拡充」を人質にとって増税を実現しようとするでしょ
    う。また、短期的には国債増発で充当できるとしても、それが将来、さらなる大幅増税に
    つながるようであれば消費にはネガティブな影響をもたらすことになります
    そう考えると、消費増税回避の策というのは、消費増税「延期」ではなく、消費増税の
    「凍結」、しかも「完全凍結」が必然と考えます。ここで「延期」というのは、これまでの
    2度の見送り同様、あらかじめ延期される期間を定めておくことを意味します(例えば、「
    1年後に増税する」といったような)。
    すでに言及したように、この「延期」では消費の回復、ひいてはデフレ克服の可能性は
    極めて低いと予想され(しかも、これは例えば5%への消費「減税」をした場合も同じでし
    ょう)。したがって、やるのであれば、消費増税の当面の「凍結(再増税の時期は定めない
    という意味)」、理想は「完全凍結」を選択すべきです。そして、その場合には、再増税の
    条件として「デフレの脱却(具体的な数値目標の設定)」と日銀の出口政策との協調
    (アコード)の締結が望ましいのは言うに及ばず、増税を凍結した上でまずはデフレ脱却に
    向けて、金融政策と財政政策(国債増発をともなう財政拡張)両面で政策発動すべきです。
    ただ、残念なのは、ここで言及した消費増税凍結に向けての「まっとうな」スキーム作りの
    ために残された時間がないことですが、喜ばしい事に、内閣官房の中には意中の政策を推進
    する人々がいて、根回しはできていませんが政策は確立してありますから、あとは安倍総理
    の決断だけです







    | author : 山龍 | 12:02 AM |
  • 時事
    10連休という超大型連休ですが、にわかに政局が動き始めました
    そのきっかけは、4月19日にDHCテレビのインターネット番組「虎ノ門ニュース」で
    自民党の萩生田光一幹事長代理が、「6月日銀短観の結果如何では消費増税の再延期もあり
    得るし、その場合には国民に信を問う必要がある」と発言したことがきっかけです

    萩生田氏は安倍総理の側近の一人であるため、安倍総理の意向を代弁した可能性もある
    として、永田町やマスコミが色めき立ちました
    そして、4月21日に実施された沖縄、大阪の衆院選補欠選挙では、自民党候補が共に落選
    の憂き目をみたということで、安倍総理が来たる参院選に危機感を募らせ、消費税率引き
    上げの再々延期を争点として衆院の解散・総選挙(場合によっては衆参同一選の可能性も)
    に打って出るのではないかという思惑が一気に広がったようです

    先に行われた統一地方選における大阪府知事・市長選で、大阪維新の会が勝利したことに
    は強い納得感があります。大阪維新の会が府政・市政の主導権を握ってからの大阪経済の
    自由闊達さと、その結果としての大阪経済の活性化には驚くばかりの数字が出ています
    これによって長らく享受してきた権益を失う人が出てくるのは世の常ですが、巨大政党
    の大掛かりな組織戦を粉砕した今回の大阪での選挙結果は、それだけ大阪維新の会が
    進めてきた規制緩和・構造改革路線が多くの有権者に支持されたということです
    その大阪維新の会が、「まともな政治改革・構造改革を推進すれば、消費増税なしで財政
    は十分に賄える」ということを主張しています。橋下府政・市政以来、大阪維新の会が
    根強い支持を得ている(しかも今回の選挙結果をみると支持は広がっているようにも
    見えます)ということは、その主張が大阪では政策として実現し、しかも、それなりに
    パフォーマンスを上げてきたということでしょう。その意味で、大阪維新の会のこの主張は
    中央政治にとっても非常に重い主張であると思われるのです

    しかし、今回の統一地方選全体の結果をみると、決して自民党が「選挙に負けた」訳では
    なく、旧民主党や共産党といった野党が議席を失ったケースの方が多かった事実があります。メディアは衆院補選の結果ばかりを強調して「安倍政治の危機」を主張しますが、統一
    地方選の結果から得られるインプリケーションは「対抗勢力としての野党の著しい地盤
    沈下」だったと伊王野が結論です(あとは、麻生、二階両重鎮議員の推す候補者が落選した
    ことで両氏の自民党内での影響力の陰りが懸念され、これに加え、統一地方選の結果とは
    関係ないとはいえ、政治的な影響力が強いといわれる吉田博美自民党参院幹事長が政界
    引退されることによって、自民党内の勢力図に変化の兆しがあるのか、もしくはないのか
    という問題があるようですが…)
    以上により、今回の統一地方選によって、主に地方議員から、「予定通り10月に消費増税
    すれば参院選を戦えない」というような抗議の声が急増し、消費増税を見送るかどうかは
    疑問です。あくまでも個人の印象ですが、今後、消費増税再々延期を求める声が政局の
    大きなうねりになっていくかといわれると、なんとも微妙なところだと思います

    明日に続く


    | author : 山龍 | 02:12 AM |
  • 時事
    NHKの記事です。平成14年入局とありますから、若い間に財務省に飛ばされ
    ありがたいレクを受けて、頭がおかしくなったんでしょうね、お気の毒です

    下記の記事で、先日財務省が発表した(平成31年4月17日説明資料(わが国
    財政の現状等について))の補足応援が為されています
    それによると、『おカネを生産力以上にすればインフレになる。酷いインフレは
    不味いので、お金が刷れるのは一定レベルまでである』と書かれています
    (笑)財務省の皆さん、そして財務省に洗脳されている記者の皆さん、世界では
    それを「インフレターゲット(インフレ目標)」と呼んでます(笑)
    もう、バカバカしくって話しする気にもならん

    下記を読めば、インフレターゲット2%も、金融緩和も、ひいてはアベノミクスも
    財務省は反対であり、全く理解してないことが分かります
    下記のNHKの記者が、財務省に背き記事を書くわけがないんですから
    書かれていることが財務省の本音です
    普通、ここまで政権と乖離しているなら、クビにしなくとも切り離して新しい部署を作り
    そこで金融、財政政策をとり、既存の財務省には”お暇”を与えるものです
    普通の国はそうします
    でなければ、国民の審判を受けてない官僚が差配することになり、民主主義の
    根幹が崩れます


    お金がないなら刷ればいい!?
    2019年4月26日
    「財政赤字で国が破綻することはない」。「財政規律が緩み、極めて危険だ」。最近、ネットから国会に至るまで、こんな論争が巻き起こっています。発信源はアメリカ。MMT=現代貨幣理論をめぐって、賛否両論が飛び交っているのです。財政赤字の拡大を容認するこの理論に神経をとがらせているのが、財務省です。日本が、“成功例”とされているからなんです。(経済部 豊田太記者)
    財政赤字なんか気にするな
    MMTは、英語の「Modern Monetary Theory」の頭文字をとった学説で、アメリカの経済学者らが提唱しています。
    主な提唱者であるニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などの学説によれば、その中心的な考え方は「自国で通貨を発行している国家は、債務返済に充てるお金を際限なく発行できるため、政府債務や財政赤字で破綻することはない」というものです。このため、景気を上向かせ、雇用を生み出していくためにも、行き過ぎたインフレにならなければ、「政府は財政赤字を気にせず、積極的に財政出動すべきだ」と説いています。

    このMMT、2018年11月にニューヨーク州から、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が支持したことで、ブームに火が付きました。さらに、ケルトン教授が、2020年のアメリカ大統領選に出馬を表明している民主党のサンダース上院議員の顧問を務めたこともあって、支持が広がりました。
    日本が実験場?
    ケルトン教授らが成功例として引き合いに出しているのが、ほかならぬ日本です。GDPの2倍近くに達した巨額の債務を抱えながらインフレにもならず、財政も破綻していないではないか、と言うのです。

    このため日本でも、にわかに注目を集めるようになっています。4月4日には、参議院の決算委員会でも、自民党の議員からMMTへの見解を問う質問が飛び出しました。答弁に立った麻生副総理兼財務大臣は、MMTをばっさりと切り捨てました。
    「極端な議論に陥ると、財政規律を緩めるということで、極めて危険なことになり得る。そういう実験に最も適しているからといって、この日本という国を実験場にする考えは持っていない」
    4月25日、金融政策決定会合後の記者会見でMMTについて問われた黒田総裁も。
    「極端な議論で適切なものとは思わない。政府・日銀の政策はMMTとは全く何の関係もない」
    反撃に出た財務省
    こうした議論に、いま神経をとがらせているのが財務省です。
    財政問題を議論する国の財政制度等審議会では、財務省が早速、MMTに反論する資料を提出。実に17人もの著名な学者や投資家が、MMTを批判したコメントを列挙しました。ノーベル経済学賞を受賞しているアメリカの経済学者、ポール・クルーグマン氏や、FRBのパウエル議長、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏と、そうそうたる名前が並びます。
    財政制度分科会の会長代理を務める元総務大臣の増田寛也氏は、会議の後の記者会見で、MMTに理解を示す意見は一切出ず、委員からは「ただメシはない。後で何らかのツケを払わなくてはいけなくなる」など批判的な意見が相次いだと紹介。そのうえで、「学問としては異端で、アメリカの政治的なムーブメント」と冷ややかに総括しました。
    実は古くて新しい議論
    皆さんはこのMMTをどう思われるでしょうか。財政を取材してきた者としては、実は「古くて新しい議論ではないか」という印象を持っています。本質的には「財政再建は必要か」という命題に行き着くからです。
    バブル崩壊以降の景気対策を持ち出すまでもなく、財政出動を求める政治家と、支出を切り詰めたい財務省の攻防は平成の財政運営の歴史そのものです。財政赤字を拡大してでも景気対策を優先すべきなのか、それとも将来世代にツケを先送りしないためにも一定の歯止めをかけるべきなのか。この両方の意見の間で、日本の財政は揺れ動いてきたと言えると思います。
    その結果として、国と地方の“借金”は1100兆円を超えました。財政制度等審議会は、去年11月にまとめた報告書で、平成の財政運営を振り返って、「歪んだ圧力に抗いきれなかった時代」と総括し、「将来の子供たちにどのように申し開くことができるのか/平成の過ちを繰り返してはならず、手をこまねくことは許されない」と締めくくりました。
    消費税率引き上げの行方は…
    古くて新しい議論がMMTという形をとって、今、再び日本で脚光を浴びている背景には、もう一つ事情がありそうです。財務省の悲願とも言える、ことし10月の消費税率の引き上げです。

    中国経済の減速などを背景に、景気の先行きが楽観視できなくなっている中で、本当に消費税率を引き上げられるのか。そんな見方があるからこそ、MMTに賛同する人が出る一方で、財務省もMMTに“クギ”を刺しておく必要があると判断したのだと思います。

    内閣府が発表している「景気動向指数」では、国内の景気が後退局面に入った可能性を示唆する結果が出たほか、5月に発表されることし1月から3月のGDP=国内総生産の伸び率がどうなるのかも注目が集まっています。与党内からは早速、今後の経済指標次第では消費税率引き上げの延期もあり得るという意見が飛び出し、政府側が火消しに追われる一幕もありました。

    消費税率の引き上げが迫る中で、今後、財政再建と景気、どちらを優先するのか、議論が白熱する可能性もありそうです。
    経済部記者
    豊田 太

    平成14年入局
    財務省、金融、自動車を取材
    現在 財界を担当


    | author : 山龍 | 12:00 AM |
  • 時事
    さて、今回で高橋教授の日本の財政と経済の話は終わりです
    高校生との対談形式にした子供でも分かりやすい手法で
    財政と経済を説いていますが、話の背景にはデータがあり
    数字を基にした論法で、巷の‟識者”のようにフワフワしたところがないのが
    高橋教授の特筆したところです
    このように、難しい言葉で飾るのではなく子供でも分かるような話にすると
    本当のことが見えてきます



    財政破綻の危険性を測る方法
    高校生 前々回の話(「日本の借金1000兆円」は経済を知らない人があおっているだけ)で日本の財政赤字の問題は誇張して語られすぎているということと、前回の話(なぜ「消費増税」が恐ろしいのか?簡単にまとめてみた)で、消費増税を止めるべき理由についてはよくわかりました。

    両方とも日本の財政赤字の問題の話でしたが・・・、でも、そもそも巷で言われている「日本は財政破綻する」っていう話自体が何だかフワッとしてますよね? もしも、日本が財政破綻しそうになった場合、前もって分かる方法はないんですか?
    先生 財政破綻の確率を知る格好の指標があるよ。それは、各国の国債の「クレジット・デフォルト・スワップ」、略して「CDS」のレート、つまり保証料率を見ればいい。

    高校生 クレジット・デフォルト・スワップ? CDS?

    先生 CDSとは金融派生商品の一種で、株や債券の発行体である企業が倒産した際の保険のようなものだ。

    例えば、私がA社の社債を10万円分買ったとして、A社が倒産したら、その社債は紙くずになり、私に損失が出る。でもA社の社債を買うと同時にCDSを買って保証料を払っておけば、その損失を保証してくれるという仕組みなんだ。

    このCDSのレートが低いほど、その発行体は倒産しないと見なされているということだ。例えばA社のレートが2%だったら、100年に2回ぐらいの倒産確率だろうと見られていることになるよ。

    その時は、例えば私がA社の社債を100万円分持っていて、CDSも一緒に買うとしたら、2%のレート、すなわち年に2万円を支払えば、その保証を受けられることになる。

    高校生 倒産する確率が、そのままレートなんですね。分かりやすい!

    先生 CDSの売り手にとっては、倒産確率が高ければ高いほど、保証する確率が増えてリスクが高いため、そのリスクに見合ったレートになっているんだ。つまり倒産確率が上がれば上がるほど、レートも上がるという特性を持っている。

    そしてこのCDSは、各国が発行する債券・国債に対しても売り出されている。これは金融機関と投資家が身銭を切って市場で取引しているものなので、より客観的な確率と言えるんだ。

    高校生 それじゃあ、国債のCDSのレートを見れば、その国が財政破綻する確率が分かるんですね。

    先生 その通り! ちなみに、最近のCDSレートの数字は、アメリカ0・21%、イギリス0・40%、ドイツ0・15%、日本0・23%、フランス0・40%、イタリア2・22%となっている。

    世界から見る日本の国債の破綻確率は5年で1%程度だ。市場全体からしたら、日本国内で言われているほど危険とは見なされていないんだよ。

    高校生 それを聞いたら、結構安心できますね。他の先進国と比べてもそれほど悪い数字ではないし……。
    世界から日本はどう見えている?
    高校生 でも、日本国内の危機感と世界から見た日本に、そんなに温度差があるのはどうしてなんですか?

    先生 その原因は、世界の市場は日本と違って、「会計学的に正しい目で、日本の財政赤字問題を眺めているから」ということかな。

    高校生 会計学的に正しい目、ですか?

    先生 どういうことかというと、確かに日本の借金、すなわち政府の債務が約1000兆円あることは事実だ。だけどその見方って実は、企業の決算書におけるバランスシート・貸借対照表で言うところの、右側の負債の部分のみしか見ていない数字なんだよ。

    高校生 バランスシートって、右に負債、左に資産が記入されているものでしたよね(バランスシートの詳しい説明はこちらを参照)。

    先生 そう。企業の安全性を分析する時は、その左右のバランス、つまり「負債の額」を見ると同時に「資産の額」をチェックすることが一般的なんだ。右側の負債だけ見ていても、それは不安になって当然だよね。

    例えば、ある企業が1億円のプロジェクトを受注し、その報酬を1年後に受け取るとしよう。会計処理上は、1億円がすぐに「売上」として計上されるけど、お金が手元に入ってくるのは1年後だから、それまでに企業の資金繰りが滞ると企業は倒産することになる。

    でも、たとえ現金が不足していても、いつでもキャッシュに換えられる資産を持っていれば、さまざまな支払いに充てることが可能だから、その企業は倒産を免れやすくなる。

    中でも換金しやすい資産を持っているほど、企業の安全度は高くなる。換金しやすい資産の代表格は有価証券などの金融資産で、こういった資産を会計学では「流動資産」と呼んでいるよ。

    ちなみに、財務省が主張している約1000兆円の借金は、「粗債務」と呼ばれるものだ。民間企業で言えば、銀行などから受けている融資や取引先への原材料費の未払い金などの負債に当たる。この負債があっても、企業に預金や土地などの資産があれば、「粗債務」の数字がそのまま債務ということにはならない。

    持っている資産を「粗債務」から差し引いた数字が、その企業の「真の債務」ということになり、これを「純債務」と言うんだ。当然、この「純債務」が小さいほど、その企業の財務状況は健全であると見なされる。

    高校生 負債があっても、資産がたくさんあれば安心なんですね。そういう意味じゃ、日本が持っている資産って、多いほうなんですか?

    先生 実は日本政府は莫大な負債だけでなく、膨大な資産も抱えているんだよ。だから日本は、純債務が極めて小さい国なんだ。

    まずは財務省が公表しているバランスシートである、次の図36を見て欲しい。




    左側の「資産」の項目を見ると、国の資産の総計は約986兆円になっている。一方の右側の「負債」は総計約1470兆円だ。

    結局、粗債務から資産を差し引いた純債務がいくらになるかと言えば、「1470兆円-986兆円」で、約484兆円だ。

    これをザックリ表すと次の図37のようになる。





    つまり、日本の実質的な借金(純債務)は、ちまたで言われている1000兆円の半分以下ということになる。GDP比(純債務残高対GDP比)で見るとほぼ100%だ。

    ちなみに、「国の借金」と呼ばれているものはこのバランスシートでは、右側の「負債」の中の「公債825兆円」+「政府短期証券85兆円」+「借入金36兆円」の計946兆円のことを指しているよ。

    高校生 これを見れば、本当の意味で日本の財政の状態が分かるんですね。

    先生 ただし、ここで財務省が言っているこの「連結」ベースには大きな欠陥がある。「日銀」が含まれていないんだ。

    政府による日銀への出資比率は5割を超えていて、政府は日銀に対してさまざまな監督権限も持っているため、会計的には日銀は完璧な政府の子会社と言えるはずだが、なぜかそのやり取りは記載されていない。

    経済学では、政府と日銀は一体のものとして分析することが常識であり、会計的な観点から言っても、連結対象から外す理由は見当たらない。

    今から25年前の話だけど、私が旧大蔵省の役人の時は、日本ではじめて政府のバランスシートを作った。その時には、日銀は政府の関連会社(特殊法人や独立行政法人など)なので、民間でいうところのグループ決算と同じように、それらをすべて合算したバランスシートを作った。それは、25年前には公表されなかった。

    それから10年経った頃、小泉政権の時から公表したけど、その時に財務省は政府関連会社の中で、日銀だけを外した。その理由は不明だが、日銀を連結対象として含めた場合のバランスシートを作成することは、間違いなくできるんだ。

    2017年3月31日現在の日銀のバランスシートは次の図38の通りだよ。





    中身を詳しく見ると、資産は総計約490兆円で、そのうち国債が約418兆円。負債も約490兆円で、そのうち発行銀行券が約100兆円、当座預金が約343兆円。

    ここで、発行銀行券と当座預金は形式的には負債だが、基本的に無利子、無償還なので、経済的には負債といえない。

    政府の債務超過額は約484兆円だったが、日銀は443兆円の資産超過。政府と日銀を一体として考えると(これは民間企業でのグループ決算に当たる)、債務超過額はたったの41兆円。

    つまり、日銀も含めた連結ベースで国家財政を考えると、結局日本政府の純債務は約40兆円ということになる。

    これをザックリ図示すれば、次の図39のようになる。





    つまり、日本政府の純債務は、多くても40兆円程度なんだよ。会計学的に見れば、「国の借金1000兆円」と言っている財務省の発表が、いかに過大に喧伝されているかがよく分かるよね。

    高校生 ここまで誤差が出るとは、正直驚きです……。

    先生 また、2018年10月10日に国際通貨基金「IMF」から発表された「財政モニター報告書」を見ても同じことが確認できる。

    このIMFレポートは、各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目して分析したものだよ。

    ここでは主に、「一般政府」と「公的部門」のバランスシートが分析されているんだ。一般政府とは中央政府、すなわち国と地方政府を併せた概念なんだ。一方の公的部門とは、中央銀行を含む公的機関を含めたもので、先ほど言った「日銀も含めた連結ベースでのバランスシート」は、この公的部門とほぼ同じ。

    このレポートでは、比較可能な国の「公的部門貸借対照表」で純資産対GDP比が出ている。純資産対GDP比とは、日本では純債務残高対GDP比と呼ばれているものだよ。より具体的に表したのが次の図40だ。




    これによれば、日本の公的部門の「純資産対GDP比」がほぼゼロであることが分かる。

    もっと詳しく言うと、日本政府の負債額は国内総生産の283%に相当するが、半分以上を日銀や公的年金などの、いわば公的機関が保有していて、資産と差し引きした「純資産」はほぼプラスマイナスゼロとなっているよ。これは、私の主張と合致している。

    そして、公的部門の「純資産対GDP比」において、世界の市場から見ると、日本の順位は世界の中で別段悪い位置にいるわけではないんだ。

    日本国債のCDSのレートが低い理由は、このように、会計学的に正しい方法で日本の財政赤字の状況を眺めているからなんだよ。こんな知識があると、日本の財政破綻は滅多なことでは起こらないと分かるんだ。

    高校生 うーん、日本が資産をたくさん持っているのは分かりましたけど、具体的にどんなものを持っているんですか?

    先生 国の資産といえば、「土地建物の実物資産が多いから、そう簡単には売却できないのだろう」と思われがちだけど、実はそうでもない。政府資産の大半は、政府関係機関への出資金や貸付金などの金融資産であり、容易に売却可能なものばかりなんだよ。

    より具体的には、日銀を含めた統合政府ベースのバランスシートで言えば、約1000兆円程度の資産のうち、実物資産(土地や建物などの有形固定資産)は270兆円弱しかない。つまり、国の資産のうちの多くが「売却可能な資産」なんだよ。

    さらに、先に換金しやすい資産の代表格は有価証券などの金融資産だと言ったけど、日銀を含めた統合政府ベースのバランスシートの中の金融資産は、「現金・預金(129兆円)」+「有価証券(369兆円)」+「貸付金(158兆円)」+「出資金(19兆円)」の計675兆円にのぼっているよ。

    高校生 えっ、じゃあ、どうして日本政府は、今まで資産があることを強調しなかったんですか?

    先生 「政府資産は簡単には売れない」というのが、財務省の言い分だ。
    でも、一般企業でも破綻寸前となれば、まずは子会社などの手持ち資産を売るのが常識だし、海外を例に見れば、破綻に直面した時には政府資産をどんどん売却している。だから「売れない」というより「あまり売りたくはない」というのが本音だろうね。

    ただ、私が言いたいことは、「資産があるから、いざという時は売ればいい」という極論ではなく、次のような話だよ。

    ・政府の財政赤字の規模は会計学的に正しく見るべき
    ・会計学的に正しい見方というのは、統合政府(日銀も含めた連結ベース)のバランスシートで見た「純債務残高」のこと
    ・日本の統合政府のバランスシートでの「純債務残高」は約40兆円であり、これは決して危機的状況と言えるようなものではないので、必要以上に日本の借金を恐れる必要はない

    高校生 こういう話、新聞やテレビでは一切されていないので驚きです・・・。

    先生 いつの時代も、メディアというものは、極論を好むからね。かつて「ノストラダムスの大予言」が多くの小中学生の心をつかみ、恐怖のどん底に叩たたき落としたように、財政赤字からくる「予言」は、人々の恐怖心やそれに伴う「怖いもの見たさ」を刺激してくる。
    人は根本的に、不安要素に惹ひきつけられてしまう傾向があるからだ。

    高校生 そうですね・・・。

    先生 多くの人々が経済危機説を信じるのは、実際にたくさんの人が、老後や将来に不安を抱いているからだろうと思う。しかし、マスコミによる根拠薄弱な極論を真に受けて、人生の将来設計や資産運用計画を立てるのは、あまりに危険な行動なんだ。それが、時に人生で後戻りできないほどの損害を生む可能性すらあるからね。

    高校生 今回本当にそうだと思いました・・・。

    先生 これらを心得て、「日本はもう経済成長できない」「国家が破綻する」「年金が破綻する」といった言説には、惑わされないようにして欲しいと思うよ。

    このような見解が、精緻にデータを検証した結果、「誤り」あるいは「真っ赤な噓」だとしたら、今多くの人々が抱えている将来への漠然とした不安が、「大いなる杞憂」ということになるからね。たった一度きりの人生を、そんな根拠のない説に左右されて不安の中過ごすなんて、もったいなすぎるよね。


    | author : 山龍 | 01:42 AM |
  • 時事
    コンビニと加盟店の論争は今にはじまったことではありませんが、今回は世耕さんが
    乗り出しました。産経新聞と時事通信社の記事の比較をしてみます
    時事通信は「市場原理をゆがめる」と言う言い回しでわかるように否定的です
    一見、聞こえはごもっともに聞こえます
    一方、産経は「独禁法」を持ち出しています

    TPPやEPAで施工される独禁法は日本より厳格なものになりますから、公取の組織整備
    法整備は欠かせないものになります。日本にも独禁法はありますが、法律自体が厳格でなく
    法の執行も緩やかなもで、どちらかと言うと個人より企業有利、弱者より強者有利に
    運用されてきました。これは高度成長からバブル、デフレ期と時間が経っているのに
    法体系や執行体制が追い付いていなかったからです
    今回、世耕さんが手を上げたのは公取改革や独禁法整備を行う先駆けになります
    体質的に経産省は何にでも首を突っ込む嫌がられ者ですが、今回は公取拡充のため
    クロコに徹して欲しいものです



    コンビニ行動計画、規制避けたい経産相の苦肉の策
    2019年4月25日
    産経新聞
     世耕弘成経済産業相が大手コンビニエンスストアに行動計画の策定を要請した背景には、24時間営業の問題が長引けばフランチャイズ(FC)ビジネスの規制につながりかねないとの懸念がある。
     コンビニ各社に自主的な改善を求めることで社会インフラとして定着しているコンビニのビジネスモデルを維持、消費生活への影響を最小限にとどめる苦肉の策といえる。
     「インフラとして生活上必要」。世耕氏はコンビニの存在意義を強調する。コンビニの店舗数は全国で5万軒超。食料品や日用品の販売に加え、公共料金の代行収納まで手がけるなど、今や消費者の生活全般において欠かせない存在だ。
     加えて平成29年には災害対策基本法の「指定公共機関」となるなど、災害時に政府の要請に応じた食品や飲料水などを調達し、速やかに被災地へ届ける役割も加わった。また交番が減少傾向にあるなか、深夜にコンビニに駆け込むケースもあるなど地域の防犯にも役立っている。
     今回の問題をきっかけに新規出店制限、加盟店が営業時間を決めるといったFC法ができれば、コンビニの経営自由度が狭まる恐れがあった。世耕氏は「あくまでFC契約に基づいて対応すべき」とし、国による過度な規制に反対の立場を示している。
     一方、公正取引委員会はFC加盟店の24時間営業の見直し要望を本部が一方的に拒否して不利益を与えた場合、独禁法違反の可能性があるとの見解を示す。
     公取委関係者は本部が人件費を補助したり、加盟店料を引き下げたりして「24時間営業を続けられる環境を整えれば、優越的地位の乱用にはあたらない」としているが、オーナー側が弱い立場に変わりはなく、独禁法を適用するかどうか目を光らせていく方針だ。(飯田耕司)



    政府がコンビニ包囲網=異例の「行政指導」に渦巻く不満
    2019年4月25日 19時52分
    時事通信社
     コンビニエンスストアの24時間営業をめぐる問題をきっかけに、政府がコンビニ業界への包囲網を敷いている。
     世耕弘成経済産業相が自ら大手チェーン各社に加盟店支援策などの行動計画の策定を求める異例の「行政指導」に乗り出し、各社は対応に追われた。表面的には従う姿勢を見せたものの、水面下では今年夏の参院選を意識した有権者向けアピールではないかとの不満も渦巻く。
     「時代の変化への対応が遅れていた。真摯(しんし)に反省し、改善していく」。セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は25日、神妙な表情でこう語り、行動計画に沿って加盟店の負担軽減に努める考えを強調した。
     コンビニ業界では近年、加盟店の収益低迷や人手不足が問題化し、オーナーの不満が高まっている。2月には人手不足を理由に24時間営業を中止した大阪府のセブン加盟店と本部の対立も明らかになり、経産省が行動計画の策定を要請。世耕氏は「民間の経営に介入するのではなく、自主的に作ってほしい」と説明した。
     3月には国の中央労働委員会がセブンなどに、オーナーとの問題を解決する仕組みを作るなどの「配慮」を要望。公正取引委員会も今月、時短営業の要望を本部が一方的に拒めば独占禁止法違反になり得るとの見解を示した。
     かつてコンビニの加盟店の苦境は、野党が取り上げるテーマだった。ここに来て政府が関心を示し始めた背景には、人手不足の深刻化に加え、参院選との関係があるとみる業界関係者は少なくない。全国の加盟店オーナーや家族の票はあまりあてにならないものの、コンビニは一般の有権者にとって身近で分かりやすい。「弱者」である加盟店を擁護するような政策は注目されやすく、ある大手幹部は「(与党の)選挙対策だろう。そんなのに利用されるのは嫌だ」と語る。
     一方、経産省幹部は「加盟店の負担について社会的関心が高まっており、(経産相が)問題提起した」と話す。問題を放置すれば、新法など過剰な法規制につながりかねないとの警戒感があるためだ。ただ政府が行政指導の形で過度に民間に介入すれば市場経済の原則をゆがめる恐れもある。 



    | author : 山龍 | 02:40 AM |
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