山龍ブログ - 誰にも文句言わせへんで!コラム

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  • 時事
    国会が始まり安倍総理の所信表明演説がありました
    その中で「消費税増税への理解」と言うくだりがありましたが
    4月1日の新年度予算執行までは、この発言が続きます
    今、増税可否について述べると、また予算を組みなおすなど
    国会運営で障害があるからで、天下泰平で消費税を上げようなどと
    思ってらっしゃるわけではありません
    言わば、総理のポジショントークです

    さて、日銀は23日の金融政策決定会合で、いわゆるイールドカーブ・コントロール
    (長短金利操作)について、現状維持を7対2の賛成多数で決定しました
    反対は片岡剛士、原田泰両審議委員だけでした
    また、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2018~20年度の物価見通しについて
    18年度0・8%、19年度0・9%、20年度1・4%とそれぞれ昨年10月時点と比較
    して0・1、0・5、0・1ポイント引き下げました
    詳しくは日銀の金融政策決定会合議事要旨を下記に張り付けておきます

    イールドカーブ・コントロールは、現在では、短期金利で「日本銀行当座預金のうち
    政策金利残高にマイナス0・1%の金利を適用」し、長期金利では「10年物国債金利が
    0%程度で推移するよう、長期国債の買い入れ」を行うものとなっています
    買い入れ額については、「保有残高の増加額年間約80兆円をめど」と‟表向き”されています
    この仕組みが導入されたのは、16年9月でした
    その1、2カ月前の長期金利はマイナス0・2%程度でしたが、日銀の地ならしと
    金利変更政策により0%程度になりました
    つまり、イールドカーブ・コントロールは『金融引き締めの効果』を持っているといえます
    実際、イールドカーブ・コントロール導入以降、日銀は国債購入額を80兆円ペースから
    25兆~35兆円に減少させています
    以前の「80兆円ペース」に比べて、イールドカーブ・コントロールは金融引き締めですから
    この面から物価の引き上げ効果は弱くなっています
    今回、展望リポートで物価見通しを引き下げたのは、政策効果を弱めたことを日銀自身が
    認めたことと同じですが、黒田総裁ははっきり口にしません

    無論、物価はマクロの需給によって決まるものなので、日銀の金融政策だけではなく
    財政政策によっても影響を受けますが、日銀みずからが物価の引き上げを積極的に行わない
    側面は否定できません
    これはインフレターゲットを掲げながら自らの金融政策で足を引っ張るという矛盾です
    インフレ目標の2%まで物価が上がっていないのですから、まだ金融緩和の余地があるのに
    (反リフレ、財政再建推進者は勉強不足で余地がないと言ってます)、日銀はやるつもりが
    ないと言っているに等しく、何を言ってるんだという話です
    どこにでもいるでしょ、『やります!なんでもします!!』と言いながら、いざやれと言うと
    『いやそれは○○』『でもあれは△△』って、言い訳ばかりする人
    今回の日銀もそれです。野党流に言えば「やるやる詐欺」(笑)

    その一方で、米中貿易戦争など海外経済をめぐる下振れリスクが強まっています
    うがった見方をすると、下振れリスクへの備えを「無駄弾」ととらえ、リスクが顕在化
    するまで金融緩和をしない考えなのかと勘繰ってしまいます
    また、国債市場では「品不足」が常態的に指摘されています
    流通している国債量が減少して、日銀が買いオペできない、債権屋が商売できないという
    意見です。しかし、財務省の公表している国債等の保有者別内訳をみると、国債等
    1091・6兆円のうち、日銀保有は469・4兆円で43%にしかなりませんから
    残りは銀行、生命保険などに57%、622・2兆円も残っている計算になります
    金融機関は相変わらず稼ぐ力が無いから、ロクに儲からないけど安全な国債を保有し
    経済に貢献していないという事ですから、存在意義は無いと言われても仕方ないでしょう

    この意味で、日銀が金融緩和する余地も手立ても十分にあります
    政府が国債を発行して有効需要を作るとともに、日銀もまだ金融緩和しなければなりません
    今のように、インフレ目標未達で、ゼロ金利が継続するほうが、長い目で見て金融機関への
    悪影響は大きくなる一方で、政府と日銀はもっと財政出動、金融緩和して物価をさっさと引き上げた
    ほうが、早くこの窮地から脱出でき、それは国庫、個人の財布ともに得策のはずです













































    | author : 山龍 | 12:00 AM |
  • 時事
    下記は磯山氏のコラムで、元日経新聞の記者ながら現日経の諸君より‟数字“に強い方です
    内容は、新聞はもう、斜陽産業で明日がないという事を、事実に基づき述べられているのと
    それでは言論がという言論人らしい希望を述べられています
    結論を言えば、磯山氏も問題視してらっしゃる「日刊新聞紙法」の改正ないし撤廃は
    TPPやEUとのEPA後は避けられない状況ですから、新聞社の株式は一般企業と同じ
    扱いになり、いずれ買収や資本参加が行われていきますから、現状の全国紙の決算書を
    見る限り、「新聞屋」では赤字、「不動産屋」で黒字という状況を見る限り、不採算部門の
    カット、採算部門に特化、切り離された不採算部門は売られ中小企業になるでしょう
    その記事が磯山氏のコラムの下に付けてあります
    ただ、悲観する必要はありません。世界の大手新聞社の上位を独占している日本の新聞社が
    おかしいのです。本来、記事を書いて、そんなに売り上げがあるわけないのですから
    有能な記者を揃え、小さい会社で有意義な記事を書いている方が国民にはメリットが
    大きく、新聞社が解体後にようやく本来のマスコミ機能が回復するんじゃないでしょうか
    無論、記者クラブなど言語道断です
    現状の新聞社の記事は必要なく、各省庁の発表を「かいつまんで」書いてるだけですから
    元の発表を呼んだ方が正確ですし、偏りがありません
    情報化時代に即した変化が起きるだけのことで、他の産業はそれに合わせ常に改革しています





    新聞部数が一年で222万部減…ついに「本当の危機」がやってきた
    新聞は不要、でいいんですか?
    磯山 友幸
    経済ジャーナリスト
    ピークの4分の3
    ネット上には新聞やテレビなど「マスコミ」をあげつらって「マスゴミ」呼ばわりする人がいる。論調が自分の主張と違うとか、趣味に合わないとか、理由はいろいろあるのだろうが、「ゴミ」と言うのはいかがなものか。ゴミ=いらないもの、である。新聞は無くてもよいと言い切れるのか。
    新聞を作っている新聞記者は、全員が全員とは言わないが、言論の自由や報道の自由が民主主義社会を支えているという自負をもっている。権力の暴走をチェックしたり、不正を暴くことは、ジャーナリズムの重要な仕事だ。日本では歴史的に、新聞がジャーナリズムを支えてきた。
    だが今、その「新聞」が消滅の危機に直面している。毎年1月に日本新聞協会が発表している日本の新聞発行部数によると、2018年(10月時点、以下同じ)は3990万1576部と、2017年に比べて222万6613部も減少した。14年連続の減少で、遂に4000万部の大台を割り込んだ。
    新聞発行部数のピークは1997年の5376万5000部だったから、21年で1386万部減ったことになる。率にして25.8%減、4分の3になったわけだ。
    深刻なのは減少にまったく歯止めがかかる様子が見えないこと。222万部減という部数にしても、5.3%減という率にしても、過去20年で最大なのだ。





    新聞社が販売店に実際の販売部数より多くを押し込み、見かけ上の部数を水増ししてきた「押し紙」を止めたり、減らしたりする新聞社が増えたなど、様々な要因があると見られるが、実際、紙の新聞を読む人がめっきり減っている。
    このままでいくと、本当に紙の新聞が消滅することになりかねない状況なのだ。
    若い人たちはほとんど新聞を読まない。新聞社に企業の広報ネタを売り込むPR会社の女性社員でも、新聞を1紙もとっていない人がほとんどだ、という笑い話があるほどだ。
    学校が教材として古新聞を持ってくるように言うと、わざわざコンビニで買って来るという笑えない話もある。一家に必ず一紙は購読紙があるというのが当たり前だった時代は、もうとっくに過去のものだ。
    「いやいや、電子版を読んでいます」という声もある。あるいはスマホに新聞社のニュースメールが送られてきます、という人もいるだろう。新聞をとらなくても、ニュースや情報を得るのにはまったく困らない、というのが率直なところに違いない。
    このままいくと…
    紙の発行部数の激減は、新聞社の経営を足下からゆすぶっている。減少した1386万部に月額朝刊のみとして3000円をかけると415億円、年間にすればざっと5000億円である。新聞の市場規模が20年で5000億円縮んだことになる。
    新聞社の収益構造を大まかに言うと、購読料収入と広告収入がほぼ半々。購読料収入は販売店網の維持で消えてしまうので、広告が屋台骨を支えてきたと言える。
    発行部数の激減は、広告単価の下落に結びつく。全国紙朝刊の全面広告は定価では軽く1000万円を超す。その広告単価を維持するためにも部数を確保しなければならないから、「押し紙」のような慣行が生まれてきたのだ。
    「新聞広告は効かない」という声を聞くようになって久しい。
    ターゲットを絞り込みやすく、広告効果が計測可能なネットを使った広告やマーケティングが花盛りになり、大海に投網を打つような新聞広告を志向する会社が減っているのだ。
    新聞社も企画広告など様々な工夫を凝らすが、広告を取るのに四苦八苦している新聞社も少なくない。
    筆者が新聞記者になった1980年代後半は、増ページの連続だった。ページを増やすのは情報を伝えたいからではなく、広告スペースを確保するため。
    第三種郵便の規定で広告は記事のページ数を超えることができなかったので、広告を増やすために記事ページを増やすという逆転現象が起きていた。増ページのために膨大な設備投資をして新鋭輪転機を導入した工場などをどんどん建てた。
    確かに、今はデジタルの時代である。電子版が伸びている新聞社も存在する。だが、残念ながら、電子新聞は紙ほどもうからない。広告単価がまったく違うのだ。
    海外の新聞社は2000年頃からネットに力を入れ、スクープ記事を紙の新聞よりネットに先に載せる「ネット・ファースト」なども15年以上前に踏み切っている。日本の新聞社でも「ネット・ファースト」を始めたところがあるが、ネットで先に見ることができるのなら、わざわざ紙を取らなくてよい、という話になってしまう。
    紙の読者がネットだけに移れば、仮に購読料金は変らなくても、広告収入が減ってしまうことになるわけだ。
    欧米では新聞社の経営は早々に行き詰まり、大手メディア企業の傘下に入ったり、海外の新聞社に売り飛ばされたところもある。このままでいくと、日本の新聞社も経営的に成り立たなくなるのは火をみるより明らかだ。
    「紙」の死はジャーナリズムの死
    当然、コスト削減に努めるという話になるわけだが、新聞社のコストの大半は人件費だ。記者の給料も筆者が新聞社にいた頃に比べるとだいぶ安くなったようだが、ネットメディアになれば、まだまだ賃金は下がっていくだろう。
    フリーのジャーナリストに払われる月刊誌など伝統的な紙メディアの原稿料と比べると、電子メディアの原稿料は良くて半分。三分の一あるいは四分の一というのが相場だろうか。新聞記者の給与も往時の半分以下になるということが想像できるわけだ。
    問題は、それで優秀なジャーナリストが育つかどうか。骨のあるジャーナリストは新聞社で育つか、出版社系の週刊誌や月刊誌で育った人がほとんどだ。
    逆に言えば、ジャーナリズムの実践教育は新聞と週刊誌が担っていたのだが、新聞同様、週刊誌も凋落が著しい中で、ジャーナリスト志望の若手は生活に困窮し始めている。
    そう、新聞が滅びると、真っ当なジャーナリズムも日本から姿を消してしまうかもしれないのだ。紙の新聞を読みましょう、と言うつもりはない。
    だが、タダで情報を得るということは、事実上、タダ働きしている人がいるということだ。そんなビジネスモデルではジャーナリズムは維持できない。
    誰が、どうやって日本のジャーナリズムを守るのか。そろそろ国民が真剣に考えるタイミングではないだろうか。





    米新聞業界にファンド勢攻勢、リストラ容赦なし
    2019 年 1 月 16 日
     「USAトゥデー」などを発行する米新聞大手ガネットに対し、ヘッジファンドが後ろ盾についている米メディア大手MNGエンタープライジズが敵対的買収を仕掛けた。発行部数の減少に苦しむ新聞業界では、 資金力豊かな金融会社が親会社としての存在感を増しており、業界が一段のコスト削減を強いられるとの懸念が高まっている。
     MNGは業界内で「デジタル・ファースト・メディア」として知られる。同社は14日、ガネット株の7.5%を取得したことを明らかにした上で 、14億ドル(約1510億円)で買収することを提案した。1株当たりの提示額は12ドルで、11日終値に23%のプレミアムを上乗せした水準となる。
     デジタル・ファーストは、ガネット経営陣のかじ取りのまずさを指摘している。ガネットは買収案を受けたことを確認し、提案を慎重に精査する考えを示した。同社は約100前後の刊行物を抱える。市場は買収提案を好感し、14日の取引でガネット株価は20%を超える値上がりとなった。

     系列メディアで勤務したことのある記者やコンサルタントなど、業界内でデジタル・ファーストに批判的な向きは、同社はこれまで、新聞媒体の長期的な健全性を改善するための十分な投資は行わず、コスト削減を優先してきたと述べる。ガネット自体もすでに大規模な人員削減を実施しているが、今後さらに厳しいリストラの嵐が吹き荒れるとの危機感が募っている。
     デジタル・ファーストの広報担当者は、目先の利益拡大だけを目指しているのではないとして、同社の戦略を擁護する姿勢を示した。
     消費者がオンラインメディアに移行する中、新聞業界は過去数年に大きく落ち込んでいる。こうした状況が業界再編への機運を高め、金融機関やプライベート・エクイティ(PE)、ヘッジファンドなどが積極的な買収に乗り出している。その結果、今では新聞グループ大手上位10社のうち、これら金融企業が4社を所有・運営する。
     デジタル・ファースト・メディアは2012年以降、ヘッジファンド、アルデン・グローバル・キャピタルの支配下に入った。同社は「デンバー・ポスト」、「サンノゼ・マーキュリー・ニュース」など50の日刊紙を傘下に収め、他に150の刊行物を持っている。ゲートハウス・メディアの経営破綻を受けてPEのフォートレス・インベストメント・グループが2014年に創設したニュー・メディア・インベストメント・グループは、小規模な新聞を次々と傘下に収め、現在では37州で145の日刊紙を保有するまでになった。
     デジタル・ファーストはこれまで経費や人員の大胆な削減を進めてきた。記者の労組組織、ニュースギルドCWAのグローバル代表、ダレン・キャロル氏によると、「デンバー・ポスト」など、労組があるデジタル・ファースト傘下12紙の人員数は12年の1552人から昨年11月には 487人と、およそ3分の1に激減した。
     かつてデジタル・メディア系のモンテレー・ヘラルド紙で記者を務めていたジュリー・レイノルズ氏は「取材部門を閉鎖してはいないが、その業務を破壊する寸前までコストを削る」と話す。「同じことがさらに100紙で起こるかもと考えると非常に恐ろしい」
     ニューヨークを拠点とする親会社のアルデン・グローバル・キャピタルは秘密主義の会社として知られている。創業者のランダール・スミス氏は数十年余り、メディアに登場していない。
     デジタル・ファーストはコスト削減のおかげで、新聞業界でも指折りの高い利益率を誇る。利払い・税・償却前利益(EBITDA)ベースの2018年利益率は16.2%と、ガネットの推定11.2%を大きく上回る。
     デジタル・ファースト系列のサンノゼ・マーキュリー・ニュースの元エグゼクティブエディター、ニール・チェース氏は、同社は昨年、主要3紙グループを対象に25〜30%の人員削減を命じたと明かす。系列の「ベイ・エリア」紙の人員は225人から160人に減り、デンバー・ポストでも30人以上が削られた。
     だが、ベイ・エリア紙は約1億7000万ドルの売上高で4000万ドルの利益を計上したという。
     チェース氏は「彼らは、ディストレス資産を取得した上でコスト削減を進め、売却することにたけている」と指摘。「彼らの投資家にとっては良いが、必ずしも新聞の発行先である地域や民主主義のためにはならない」と語る。
     ガネット系列を含め、新聞の多くは、発行部数や紙媒体の広告減少を受けて、すでに厳しい人員削減を余儀なくされている。米労働統計局のデータによると、新聞会社に勤務する記者数は2004年以降、7万1640人 から3万9210人におよそ半減している。またノースカロライナ大学の研究によると、同じ期間に週刊・日刊紙の合計発行部数(平日)は1億2200万部から7300万部と、4割も落ち込む一方、1800紙が廃刊に追い込まれた。その結果、200の郡から地元紙が姿を消した。








    | author : 山龍 | 12:00 AM |
  • 時事
    政府の審議会、委員会などに委員として呼ばれる民間人が、ただの操り人形だと何度も
    書いていますが、どのようにして行われるかの一例を見てみます

    まず最初に、現在の世界経済の状況で日本は消費税増税を行いにくくなってきました
    それは当の財務省も認識しています
    更に、野田政権時に財務省勝元事務次官と纏めた「税と社会保障の一体化」のレールに乗る
    消費税増税の論理が、事も有ろうが厚生労働省のデータで破綻(笑)
    ちょうど破綻した時期が、モリカケで騒いでいた最中で財務省の公文書書き換えと
    相まって、財務省と厚労省が険悪になります
    そこに、ある元日銀審議委員の会合に呼ばれた厚労省官僚と総務省官僚との会で出た
    話しを、総務省へ出向中の財務官僚が嗅ぎ付け、今回の統計問題が噴出します
    財務省は何としても消費税を増税したいので、厚労省の医療、介護はコスト増に
    ならないというデータを握りつぶそうと、今マスコミで旬な落合、古市両氏を使って
    くだらないプロパガンダをしましたが、その内容が全く出まかせとばれてしまい
    財務省に操られていたことを反省した落合氏は謝罪、古市氏は厚顔なのか野心家なのか
    反応なしですが、いづれにしても、若手の客論として連日マスメディアに登場する両氏
    を審議委員や委員に抜擢し、読むのも嫌になるほど資料を渡し、両人とも呼んでる時間が
    無いのでペラ1枚にまとめたとされる「トラップ文書」にハマり、今回のように
    財務省が言いたいことをかわりに代弁する操り人形に仕立て上げられます
    まあ、結局は当人がバカで無知なんですが、財務省は絶対に自分で泥をかぶる方法は
    取りません
    数字やデータに弱い向上心豊かな人間に、失敗しても泥をかぶせる方法をとります
    しかし、今回の古市憲寿、落合陽一氏の発言は、ほんとうに無知で下品でしたから
    言論人として資格はないですね
    若手はとかくチヤホヤされたり、出過ぎた釘を打たれたりするので、自分の専門分野以外に
    首を突っ込むときはエビデンスの確認はマストなんですが、いったい二人とも何を
    してるんでしょうか
    下記が、その内容を含む二木立先生のインタビュー記事です




    トンデモ数字に振り回されるな 繰り返される「終末期医療が医療費を圧迫」という議論
    高齢者の終末期医療をカットすることを主張して、多くの人の批判を浴びた落合陽一さん、古市憲寿さんの対談。批判の根拠として度々引用された医療経済学者、二木立さんが医療費についての不安を煽る言説を斬るインタビューです。
    2019/01/25 11:00
    岩永直子
    「(高齢者に)『最後の一ヶ月間の延命治療はやめませんか?』と提案すればいい」
    「超高齢社会で安楽死や延命治療の議論は避けては通れないはず」
    「終末期医療の延命治療を保険適用外にするだけで話が終わるような気もする」
    注目の若手論客、落合陽一さん、古市憲寿さんがこのような発言をした「文學界」1月号の対談は、文春オンラインにも転載されて多くの批判を浴び、落合さんは一部内容を撤回するなどしました。
    この対談での発言を批判する論拠としてよく引用されたのが、医療経済学者で日本福祉大学相談役・名誉教授、二木立さんの論文です。
    二木さんはこの論争についてどう見ていたのでしょう。そして、少子高齢化や高額薬剤による社会保障破綻論や、政府が打ち出している予防医療や健康寿命増進による医療・介護費抑制策についてどう評価しているのでしょうか?
    「このままでは日本の医療や介護制度はもたないのではないか」という不安が日本を覆い、社会的弱者に不寛容なことばが広がる中、歴史やデータを踏まえながら日本の医療や介護制度のあり方について語っていただきました。
    3回にわたってお伝えします。
    繰り返される「終末期医療費が医療財政を圧迫する」という言説
    ーーこの対談は前からご存知でしたか?
    当初、私は「文學界」も、論争のきっかけになった朝日新聞の文芸時評(※二人の対談を作家の磯﨑憲一郎氏が批判)も読んでいなかったです。去年の年末から、この論争で、わたしの論文が引用されているよと、複数の人から連絡がきました。
    私が連載している媒体からもこの論争について寄稿の依頼がありましたが、あまりにも下品で、エビデンスに基づいていないから論評する価値もないと断りました。朝日新聞で磯崎憲一郎さんが書いている通りですよ。

    この想像力の欠如! 余命一カ月と宣告された命を前にしたとき、更に生き延びてくれるかもしれない一%の可能性に賭けずにはいられないのが人間なのだという想像力と、加えて身体性の欠如に絶望する。(磯崎憲一郎氏「作家の生き様」朝日新聞・文芸時評より)

    今回、致命的なのは、明らかな事実誤認があったことです。この論争がずっと続くなら批判も考えますが、収束するのではないかと言っていたら、ほぼ終了しましたね。
    ーー元の対談記事は読まれましたか?
    まず、ウェブ上に文春が公開しているのを読み、後から「文學界」とウェブ版を読み比べてみました。
    「終末期医療の延命治療を保険適用外にするだけで話が終わるような気もするんですけどね」を「…保険適用外にするとある程度効果が出るかもしれない」にしたり、「…治療をしてもらえない--というのはさすがに問題なので、保険の対象外にすれば解決するんじゃないか」を「…問題なので、コスト負担を上げればある程度解決するんじゃないか」と変えていますね。
    少なくとも、文春オンラインは文學界の記事を転載したとしか書いておらず、不適切な表現を訂正しましたとは書いていない。あれは良くない。姑息な言い換えをこっそりしたのが「文學界」編集部なのか、落合さんなのかは知りませんが、どちらの場合も、言論人失格と思います。
    ーーおさらいをさせてください。先生は、「終末期医療費は高額で、医療保険財政を圧迫している」という言説は、誤りだと指摘されています。
    高額医療費が医療保険や財政を破綻させるという主張は1950年代から繰り返されています。また終末期医療が医療費を圧迫するという言説も、1997年に広井良典氏らがまとめた『「福祉のターミナルケア」に関する事業報告書』から繰り返されており、特に、珍しいものではありません。
    高名な経済学者である伊東光晴氏も著書『日本経済を問う』(岩波書店、2006年)で「人間一生の医療費のうち、約半分が死の直前6か月のうちに費やされる」と書き、在宅医兼作家の久坂部羊氏も『日本人の死に時』(幻冬舎新書、2007)で、「終末期医療費が全老人医療費の20%を占めるとか、国民1人が一生に使う医療費の約半分が、死の直前2か月に使われるという報告があります」と書いています。
    いずれも、恣意的なデータの解釈がなされていたり、そのようなデータを示した実証研究はなかったりして、私は「トンデモ数字」だとして批判を繰り返してきました。
    死亡前1ヶ月の医療費が医療費に占める割合はわずか3%
    ーー実際には終末期医療の費用は医療費全体の中でそれほど高くはないということですね。
    「終末期医療費」の定義は様々ですが、「死亡前1年間の医療費」と最大限広くとらえた場合でさえ、日本の老人医療費の11%に過ぎないことが明らかにされています。布川哲夫氏らが1994年に「老人医療年齢階級別分析事業」のデータを分析して算出した数字です。
    しかし、「死亡前1年間」を終末期とするのは、医療者や患者、家族の実感とは合わないでしょう。日本では2000年以降は、「死亡前1ヶ月」のデータが使われるようになっています。
    医療経済研究機構が2000年に発表した報告書では、全死亡者の死亡前1ヶ月間の医療費は7859億円で国民医療費のわずか3.5%に過ぎないことが明らかにされました。
    厚生労働省もきちんとデータを出しているんですよ。
    厚労省保険局は2005年7月、2002年度の「終末期における医療費(死亡前1ヶ月間にかかった医療費)」は約9000億円と発表しました。同年度の「医科医療費」に占める割合は3.3%に過ぎません。
    ーー「終末期医療費を保険適用外にする」、医療費抑制の文脈で安楽死を議論するインパクトはデータから見ても弱いということですね。
    これは提案と言えるでしょうか? 思いつき、放言レベルでしょう? しかも落合さんは撤回していますから、論評に値しないと思いますよ。彼らに比べると安倍首相の発言の方がずっとまともです。
    安倍首相は、政権を奪還した後の2013年2月20日の参議院予算委員会で、野党の議員から終末期医療は無駄ではないかという趣旨の質問を受けて、「尊厳死は、極めて重い問題」と触れた上で、「大切なことは、これはいわば医療費との関連で考えないことだろう」とはっきり言っています。
    私はこれに大賛成ですよ。
    終末期医療について議論するのは大事だが...
    ーー先生は、ご著書でも、「延命至上主義的な医療には疑問を持っている」としていますし、終末期の医療について議論すること自体には反対されていません。
    今後、終末期や死亡前の医療、あるいは、患者を中心にどんな医療やケアを受けたいか医療者や家族と話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)」についてどうするかということは議論してなんの問題もないと思います。
    しかし、医療費削減を目的とする終末期医療の見直しには賛成できませんし、終末期医療費が巨額だという主張も事実誤認だと度々指摘してきました。
    終末期医療の大前提は、本人の意向を最大限に尊重し、強制はしないということです。
    終末期医療の費用が多額だからカットせよという議論は繰り返されてきた
    今回の論争で、わたしの論文も一部不十分な引用のされかたがありました。死亡前1ヶ月間の医療費は国民医療費の3%ですが、統計上、その中には救急救命を目的とした急性期医療も入っているんです。
    だから結果的に心筋梗塞で死んじゃった、脳卒中で死んじゃったという人の治療費もその中には含まれています。だけど、そんな治療を普通、「終末期」とは言わないでしょう?
    本来の意味での終末期、つまり、慢性疾患があって亡くなる、あるいはがんの末期でなくなった人に限定すると、国民医療費に占める割合はおそらく2%もないと思います。
    ーー「3%」には、それまで健康だったのに、急に倒れて、命を救うために急性期の超濃厚医療をして、結果的に亡くなってしまったという人の医療費も入っているということですね。
    脳卒中で死んだから高額な医療費かかってしまったとか心筋梗塞で死んだから医療費がかかって困るとは誰も言わないでしょう? 誰もが必要性を認めるような医療をカットすべきだとは言わないはずです。
    それに、日本の高齢者の健康度は世界一なんですよ。
    あとで詳しく述べますが、2016年に國頭英夫医師が「オプジーボ亡国論」、つまり、免疫チェックポイント阻害剤オプジーボが保険適用された時、高額だから日本の財政破綻が確定的となると主張して話題になったことがありました。
    問題は、國頭医師がその中で「75歳以上の患者には、すべての延命治療を禁止する。対症療法はこれまでと同じように、きちんと行う。これこそが公平で、人道的で、かつ現実的な解決法なのである」という主張をしたことです。
    わたしも71歳だからもうすぐ75歳になりますが、介護保険との関係でいえば、75歳の要介護・要支援認定率は約3割です。これは一見すごく多いように見えますね。65〜74歳の前期高齢者の要介護率は約5%ですから。
    ただ、裏返してみると、後期高齢者でも7割は健康なんですよ。少なくとも日常生活に不自由はないんです。要介護、要支援を受けていないのですから。
    そういうお年寄りが、心筋梗塞になりました、脳卒中になりました。そこで病院に運ばれた時に、「あなたは75歳以上ですから、キュア(治療)は必要ありません。ケアをします」ということが許されますか? 
    本人はもちろん、家族も希望しないし、一般の人びとも、自分がそうなった時のことを考えると許せないでしょう。だから安倍首相の発言はすごく見識がありますよ。落合さん自身もこれは反省していますね。
    少し、議論に進歩も感じている 
    ーーしかし、こうした議論はなぜ繰り返されるのでしょう。
    わたしからみると別に終末期医療の問題に限りません。医療・社会保障費の問題は、1回の論争で決着する方が例外で、「医療費、社会保障費亡国論」は1983年に当時の厚労省保険局長が唱えて以来、繰り返されていますよ。
    ただわたしは以下の2点から、以前の論争よりも進歩していると感じます。
    一つは、落合さんや古市さんの発言を支持する声がほとんどなかったことです。
    例えば、以前、わたしが批判した2013年1月21日に麻生副総理が社会保障制度改革国民会議での発言を思い出しましょう。

    「死にたい時に、死なせてもらわないと困っちゃうんですね。(中略)しかも、その金が政府のお金でやってもらうというのはますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」

    麻生氏は批判を受けてすぐに撤回しましたが、「重要な問題提起」「大切なテーマなのでタブーにすべきではない」という擁護論を唱えた人がたくさんいましたよね。
    私は麻生発言はその前段で述べた、次の主張も問題にすべきだと思っていました。

    「現実問題として、今経費をどこで節減していくかと言えば、もう答えなんぞ多くの方が知っている。高額医療というものをかけて、その後、残存生命期間が何ヶ月だと、それにかかる金が月千何百万だ、1500万だっていうような現実を厚生労働省が一番よく知っているはずですよ」

    ーー最近では昨年10月にも、「『自分で飲み倒して運動も全然しない人の医療費を、健康に努力している俺が払うのはあほらしい、やってられん』と言った先輩がいた。いいことを言うなと思って聞いていた」と発言していました。
    前と同じでしょう。少なくとも安倍首相は公的には違う言い方をしています。麻生氏の放言癖はキリがないですね。
    問題なのは、麻生氏に限らず、死亡前の医療費が高額であり、医療費増加の主因だから、カットしろと主張する人が少なくないことです。
    元テレビアナウンサーの長谷川豊氏は2016年に、

    「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」

    と言って、あれも結構支持が多かったですよね。
    しかし、今回の二人の対談は正面から支持する人はほとんどなく、なおかつ手前味噌ですけれども、二人への批判の多くがわたしの論文を引用していましたよね。データで論理的に批判がなされました。そういう意味でああ、世の中は少し進歩していると思いましたよ。この論争に関してはね。
    古市さんは財務省の友達と社会保障費について細かく検討したと話していますが、「経済産業省の友達」の間違いか、彼の意図的言い換えではないかと推察しています。
    財務省の少なくともエリートにはこんな粗雑な発言をする人間はいません。このことは、先日、全国紙の財務省担当記者からも確認しました。
    それに対して、経産省サイドの医療改革のスポークスマンになっている江崎禎英さんは、古市さんと同様に、「人生最後の1か月で生涯医療費の50%を使う」等のトンデモ発言を繰り返しています。
    古市氏は「長期的には『高齢者じゃなくて、現役世代に対する予防医療にお金を使おう』という流れになっていくはず」と続けていますが、このロジックは、ヘルスケア産業の振興を狙って予防医療の推進を唱える経産省のみが使っています。
    これに対して、財務省は昨年10月9日の財政制度等審議会財政制度分科会で、「予防医療等による医療費や介護費の節減効果は定量的には明らかではなく、一部にはむしろ増大させるとの指摘もある」と述べています。
    誰のどういう意図が反映されている発言なのか、注意しなくてはいけません。


    少子高齢化が進み、「このままでは医療や介護はもたない」と多くの人が抱えている不安は、根拠があるものなのでしょうか?
    対談が引き起こした論争をきっかけに、質問を投げかけてみました。
    「社会保障費の負担は心配するほど増大しない」
    ーー落合、古市対談は、日本の財政悪化のツケを払わされる若い世代としての危機感から、「既得権益」を切り崩す形として高齢者医療費のカットを提案しているように見えます。そもそも、財政健全化のために、社会保障費をカットするという提案は、医療経済の視点から妥当なのでしょうか?
    これが提案と言えるのでしょうか?
    社会保障費水準というのは、対GDP(国内総生産)比で見るのが医療経済学の常識ですが、これが今後、急増しないことは、政府の公式推計でも確認されています。私も論文で論評しましたが、これは重い数字ですよ。
    2018年5月21日に内閣官房、内閣府、財務省、厚生労働省が経済財政諮問会議に提出した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」でどのように推計されているかご存じですか? 
    2040年度の社会保障給付費の対GDP比は「現状投影」でも23.8~24.1%、現在行われている諸改革がすべて計画通りに実現すると仮定しても23.8~24.0%となり、2018年度の21.5%と比べて、2.3~2.6ポイント高くなるだけと試算されています。
    最近も厚労省の鈴木俊彦事務次官が、「社会保険旬報」1月1日号の座談会で、「日本の社会保障給付費の対GDP比が2040年で24パーセントという水準は、日本よりも高齢化率の低いフランスやスウェーデンが現在負担している水準よりも低いものであり、国民が負担できない水準ではない」とはっきり言っているんです。
    同じ雑誌の1月11日号に収められた「第17回地方から考える『社会保障フォーラム』セミナー」では、厚労省の社会保障担当審議官の伊原和人さんが、次官よりもっとストレートに発言しています。
    2040年に社会保障給付費(対GDP比)は1.1倍強になるというのは同じですが、もっとわかりやすい例として、健康保険の保険料の見通しでいうと、協会けんぽの負担が今は10%なのが2040年に11.5〜11.8%になるんだよ、と言っているわけです。
    ポイントでいうと、2ポイント増えるということです。この問題で大事なのは、社会保障費を誰が負担するかは別として、日本社会として負担できないレベルの増加かということです。
    その上で、次の段階で、じゃあどういう風に財源を確保するかという2段階で考えなくちゃいけないわけです。
    ーーその増加分はどのように確保すべきだとお考えですか?
    国民皆保険を維持するとしたら、保険料が半分ですね。租税は4割ぐらいです。よく租税イコール消費税と言われますが、これだけ消費税を上げるのに反対が多いことを考えると、私はもっと多様化すべきだと思います。
    手前味噌ですけれども、これは日本医師会の医療政策会議でも合意を得ています。昨年4月、日本医師会の医療政策会議で報告書が出ています。
    社会保険料が中心で、消費税はもちろん大事だけれども、税は多様化する必要があると、私の意見が全部入っています。
    詳しくは、「国民皆保険制度の意義と財源選択をどう考えるか?」という論文で書きました。
    国民皆保険の維持は日本社会が一体感を維持する最後の砦
    この論文で強調したのは、「国民皆保険の維持」は、今や医療制度の枠を超え、日本社会の「安定性・統合性」を維持するための最後の砦となっているということです。
    日本は、こんなに格差社会になってしまいました。その中で、国民皆保険は日本社会の一体感を保つための最後の砦です。
    今の世の中で、自民党から共産党まで唯一の合意があるのは国民皆保険の維持だけですよ。だから国民皆保険を解体したり、あるいは混合診療を全面解禁したりして、貧富の差で受けられる医療が変わったら、日本社会は底抜けしてしまいます。
    ーーそういう意味でも、「最後の一ヶ月の医療費は保険外で」というのは不見識だとお考えなのですね。
    ほかの人も既に指摘していますが、そもそも技術的に最後の1ヶ月なんて、誰にもわからないんですよ。
    落合氏は、これに続けて「延命治療をして欲しい人は自分でお金を払えばいいし、子供世代が延命を望むなら子供世代が払えばいい」と発言しています。
    私はこれを読んで、21世紀初頭の混合診療全面解禁論争の時に、当時、規制改革・民間開放推進会議議長で全面解禁論の急先鋒の宮内義彦氏が「金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう」と言い放ったことを思い出しました。
    この発言は、第二次大戦前に、農村部の小作農や都市部の貧困層でよく見られていた、重病人が出れば家どころか娘を売らなければ医療を受けられないという悲劇を予防するために公的保険制度が導入された歴史を無視した暴言です。
    当時、私が大学院の講義でこの発言を紹介したところ、韓国の留学生は異口同音に、「韓国だったらボコボコにされるか土下座なのに」と怒りを述べました。しかし、日本のマスコミはこの発言をほとんど報じませんでしたし、今回の落合発言への反応も鈍かったのも不思議でなりません。
    高額薬剤費の影響は? 歴史から学べ
    ーー免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」など高額医薬品が増えることが医療費を圧迫するという議論もあります。今後、さらに高額な薬剤が承認される時にどこまで保険で認めるかという議論が起こると思いますが、これまでの医療保険の仕組みは維持できるのでしょうか。
    オプジーボの時も同じことが言われたんですよ。いわゆる「オプジーボ亡国論」です。
    日本赤十字社医療センター化学療法科部長の國頭英夫医師が、オプジーボを受ける肺がん患者の医療費が年間3500万円で、適応のある患者5万人全員に投与された場合、年間1兆7500億円に達すると推計して、これをきっかけに「日本の財政破綻が確定的となり、”第二のギリシャ”になる」と主張したんです。
    全国紙3紙が社説で取り上げ、毎日と産経と週刊新潮がこれをテーマに長期連載をやったほどの議論になったんです。
    タイトルもすごいですよ。毎日新聞は「たった一剤で国が滅ぶ」、産経は「一剤が国を滅ぼす」です。
    私は研究者ですから、常に国際的視点と歴史的視点で検証するわけです。「国が滅ぶ」とまで言ったのは國頭氏が初めてでしたが、過去には、「医療保険財政がもたない」と、2.5回議論が起こった歴史があるわけです。
    「結核医療費」と「透析医療費」と、あと0.5回はインターフェロンです。結核医療費は、抗生物質の進歩や普及、薬価引き下げで国民医療費に対する割合は急激に低下しました。
    透析医療費も、1973年に高額療養費制度ができたことで患者負担が引き下げられ、透析医療費が保険で高い点数に設定されたため、1970年から10年間で患者数は38倍も激増したんです。
    しかし、当時の厚生省が診療報酬改定で透析技術料や透析を行う装置「ダイアライザー」の価格設定を大幅に引き下げたことで、患者はその後も増えたものの国民医療費に対する割合は低下しました。
    この二つの疾患の歴史を踏まえれば、オプジーボなどの高額医薬品の費用も、医療政策としてはコントロールが可能なのだと予測できます。
    オプジーボは実際に国を滅ぼしたか?
    ーーオプジーボも大幅に薬価が引き下げられましたね。
    「オプジーボ」亡国論が、現実にはどうなったか見てみましょう。
    「概算医療費」という統計があります。国民医療費は確定するのが遅いので、厚生労働省は、「概算医療費」という暫定の医療費の動向を2017年度まで出しています。
    概算医療費は、大雑把に言うと、国民医療費から生活保護の医療費をのぞいたイメージです。国民医療費の98%ぐらいをカバーしている統計ですから、ほとんど国民医療費と伸び率は同じです。
    この対前年伸び率を見ると、2014年度が1.8%、だいたい2%ぐらいだったのが、2015年度にはポーンと3.8%に上がったんです。
    内訳を見ると、調剤の伸び率がなんと9.4%も上がったんです。これは新しいC型肝炎治療薬「ハーボニー」の影響です。さらにオプジーボが出てきたので、これからさらに上がるという議論になったんです。
    ところが、厚労省は2017年2月にオプジーボを半額にしたのを含めて薬価を一気に下げましたね。それで、2016年度の伸び率は、-0.4%になったんですよ。調剤に関しては、-4.8%ですよ。完全にチャラになったわけです。
    そして、2017年度は、それぞれ、2.3%、2.9%です。完全にアンダーコントロールになりました。オプジーボはわずか4年で、薬価が4分の3も下げられました。適応もすごく厳しいです。病名だけ見れば、見かけ上の適応は拡大した。しかし、施設基準などが厳しいです。だからそれほど増えていません。
    2018年度には薬価の抜本改革で、高い薬価の薬は四半期ごとに、売上高をチェックして、伸び率が高い場合は再算定することになりました。今までは2年ごとの見直しだったのです。
    その餌食と言っては悪いですが、オプジーボは完全にコントロール下におかれました。
    1回5000万円と言われるCAR-T療法の影響は?
    ーー現在、承認申請中の新しいタイプのがん治療薬「CAR-T療法」は1回5000万円とも言われています。今度こそ、医療財政はもたなくなるのではないかと懸念されています。
    もちろん、これからもたくさんいろんな高額薬剤が出てくるでしょう。今度は違うといつも言われるんです。
    だいたい私の経験では、「This Time is Different(今度こそ違う)」と言うのは、不勉強だけれども、傲慢な人の常套句ですよ。
    例えば、今、承認、保険収載が見込まれているCAR-T療法の「キムリア」だったら、アメリカだと、治療に反応があった場合だけ支払いを求める成功報酬が導入されていますよね。だからいろんなやり方があると思います。
    調べてみましたが、キムリアが適応になる日本の患者数は、急性リンパ性白血病(ALL)で5000人、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で2万1000人。ずっと限定されます。オプジーボのように適用拡大はあまり考えられないし、厳しく適用制限するはずです。しかも、基本は1回だけの治療です。
    そして、当然技術進歩が進めば薬価も下がります。人件費は下がらないですが、物件費はいくらでも下がる。
    これまでの経験に基づけば、今後、新医薬品・医療技術価格の適正な値付けと適正利用を推進すれば、技術進歩と国民皆保険制度は両立できるということが国際的、歴史的結論でしょう。
    国際的に見ても、技術進歩による医療費増加で、医療保険が破綻した国はないんですよ。歴史や国際的な視点を踏まえて、議論すべきです。
    【二木立(にき・りゅう)】日本福祉大学相談役・名誉教授
    1947年生まれ。1972年、東京医科歯科大学医学部卒業。代々木病院リハビリテーション科科長、病棟医療部長、日本福祉大学社会福祉学部教授を経て、2013年日本福祉大学学長に。
    2018年3月末、定年退職。『文化連情報』と『日本医事新報』に連載を続けており、毎月メールで配信する「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」は医療政策を論じる多くの官僚、学者、医療関係者が参考にしている。
    著書は、『地域包括ケアと福祉改革』、『医療経済・政策学の探究』、『地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク』(いずれも勁草書房)等、多数。


    | author : 山龍 | 12:00 AM |
  • 時事
    アメリカが一方的にイラン核合意から離脱したことに、EUはじめマスコミも
    肯定する意見はなく非難ばかりしていますが、マスコミの論調では中身が
    全く見えてきません

    マスコミは、オバマ前大統領の功績を潰すためのモノのように書いていますが
    オバマ氏が纏めたイランとの核合意は甘々で、とりあえず一旦合意しましょ的な
    中身のないものでした
    トランプ大統領になって中東への政策転換が行われている最大の要因は
    エネルギー政策の変化があります
    世界中が中東頼みだった時代が終わり、昨年、アメリカは世界最大の
    エネルギー大国になりました(下記の記事)

    また、イランと北朝鮮は共同で核開発してきた同盟国ですから、北朝鮮の核廃棄後
    その技術や技術者がイランで匿われては意味がなくなり、イランと長い交流がある
    日本の立場としても、イラン-北朝鮮への同時圧力は必須のものでした
    先日、日本が国連で北朝鮮の背取りによる国連制裁逃れの実態を報告しましたが
    海上で積み替える原油の多くはイラン産のものと思われ、それが他国にばれないように
    周辺の監視をしているのが韓国海軍で、韓国による照射は、その事実を隠すため
    意図的に行われたものだと思います(下段2番目の記事)

    そして、中東に関連して、ファーウェーによる新たな疑惑も表面化してきました
    ファーウェイがテロ組織タリバンと共謀し、19年前から通信インフラを構築していた
    と言うリークと記事です(下段3番目の記事)




    エネルギー地政学一変 米原油生産45年ぶり首位
    脱・中東、米国第一が加速
    米国の2018年の原油生産量が45年ぶりに世界最大になったもようだ。シェールオイルがけん引して10年で2倍強に膨らみ、輸入への依存度は30年ぶりの低水準に下がる。原油の供給を頼ってきた中東への積極関与が薄れ「米国第一」の外交・安保政策に拍車がかかるのは必至。米国は輸入より輸出が多い純輸出への転換も視野に入り、世界のエネルギー地政学が一変しそうだ。
    米原油生産をけん引するシェールオイル=ロイター
    米エネルギー情報局(EIA)や業界の推計によると、18年の米原油生産は日量平均1090万バレル前後と前年比約2割伸びた見込み。17年は3位だったが、昨年9月までに2位のサウジアラビアと首位のロシアを抜いて勢力図が様変わりした。シェールオイルは技術革新によるコスト低減で1バレル50ドル以下でも採算がとれるようになった。
    生産増で原油を国外に頼る構造が変わっている。輸入から輸出を差し引いた純輸入が国内消費に占める割合は18年に30%を下回った公算が大きく、1988年以来の低水準。需要拡大が顕著になった90年代半ば以降は4~5割で推移してきた。
    石油輸出国機構(OPEC)からの輸入は直近ピーク(08年)の約5割と31年ぶりの低水準にまで下がってきたことで、「中東の重要性は薄れてコストを払ってまで介入しなくなる」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミスト)。
    米国が長らく「世界の警察官」として振る舞ってきた理由の一つはエネルギーの安定確保だ。国内油田の資源減少が鮮明になっていた1973年の第4次中東戦争は石油危機につながり、急激な物価上昇で世界経済に打撃を与えた。
    このため原油依存を深めていった中東では、91年の湾岸戦争など地域の秩序維持を主導してきた。だが昨年12月に内戦の続くシリアからの米軍撤収を表明。エネルギー安全保障の観点から中東に積極関与する政策の後退が鮮明になっている。
    一方で米国は石油危機の経験で禁止していた原油輸出を2015年の解禁後から急速に伸ばしており、18年11月最終週にはサウジやロシアなどに次ぐ世界4位の規模にまで膨らませている。
    市場では米国の存在感に関し、「OPECが減産で価格を上げようとする『神通力』が低下する」(楽天証券の吉田哲コモディティアナリスト)と、相場の押し下げ要因になるとの見方が強い。
    原油相場は足元で1バレル50ドル前後で推移している。米国の増産は「想定以上のペースで続けば上値を抑える」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミスト)とも意識され、原油収入に財政を頼るロシアや中東の統治基盤を揺さぶる可能性もある。
    米国の原油と石油製品を合わせた輸出は昨年11月に週間で一時的に輸入を上回り、同じ基準で遡れる1991年以降初めて純輸出になった。シェールオイルの生産は掘削資金の調達環境などで振れる面もあるが、著名アナリストのダニエル・ヤーギン氏は「20年代初頭には年間でも純輸出国に転じる」と予測する。
    トランプ政権は世界へのエネルギー供給を源泉に新たな覇権をめざしている。原油の輸出入収支は17年に1100億ドル(約11兆円)のマイナス。モノ全体の赤字の14%を占め、輸出拡大で貿易赤字を減らす思惑もある。天然ガスはすでに17年に純輸出国に転じた。米国はエネルギー消費大国から輸出大国への道を走り始め、資源を背にした世界の政治力学に変化を及ぼしそうだ。
    (ニューヨーク=中山修志、久門武史)




    “北朝鮮 瀬取り続けている” 日本政府 安保理に通報
    2019年1月18日
    北朝鮮が洋上で物資を積み替える「瀬取り」を続けている疑いがあると日本政府が国連安全保障理事会に通報していたことがわかり、今後、安保理では制裁決議違反にあたる可能性があるとして協議が行われることになりそうです。
    安保理関係者によりますと、日本政府は去年11月、北朝鮮が関与した疑いがある2件の「瀬取り」の事例を安保理の北朝鮮制裁委員会に書簡で通報しました。

    書簡は、去年9月12日の深夜から13日の朝にかけて東シナ海の公海上で、北朝鮮船籍のタンカーにシンガポール船籍のタンカーが横付けされ、2隻の間にはホースがのびていたことから、石油精製品が移し替えられた疑いがあるとしています。

    また、同じ海域では、去年10月28日の午前と午後にも、制裁対象に指定されているタンカーにシンガポール船籍のタンカーが横付けされているのを確認したとして、北朝鮮が「瀬取り」を続けている疑いがあるとしています。

    安保理関係者によりますと、これらの事例は、ことし3月にも公表される制裁委員会の報告書に盛り込まれる見通しで、安保理では、今後、制裁決議違反にあたる可能性があるとして協議が行われることになりそうです。



    ファーウェイ、テロ組織タリバンに通信技術を支援 早くて19年前から
    2019年01月16日
    伝えられるところによると、中国ファーウェイ(華為科技、HUAWEI)は早くて19年前から、通信技術を中東のテロ組織に売り渡し、活動を支援していた。
    通信機器の世界最大手ファーウェイは中国軍と密接なつながりを持つ民間企業。安全保障上のリスクを理由に米国、英国、豪州、日本、ニュージーランドなどは政府、軍事、民間の次世代ネットワーク5G事業からの排除を決めている。
    米NPO組織によると、中東拠点の過激派組織タリバンの指導者オサマ・ビンラディンに対する支援は2000年に始まった。
    1999年以降、タリバンが国連制裁措置リストにアップされた。このため、世界中の通信事業者や通信機器メーカーがタリバンに販売することは禁じられた。しかし、複数の間接的な証拠から、ファーウェイは数十年間、タリバンに通信システムを提供し続けていることが分かった。
    米国の対テロ戦争を妨害する中国共産党政権
    米バージニア州拠点のNPO組織・人口調査研究所は2001年9月、中国共産党政権とサプライヤーは、オサマ・ビンラディンの対米戦争に重要な役割を果たしたと報告した。
    タリバンは、過去20年にわたり中国共産党との緊密な関係を維持している。2000年12月、国連安全保障理事会はタリバンへの武器売却を禁じると票決した。このためタリバンはアフガニスタンでの訓練キャンプの閉鎖に至った。当時、中国は投票を棄権した。
    この数カ月後、ファーウェイはタリバンと取引し、アフガニスタン全土に広がる軍事通信システムを構築した。ロイター通信の報道によれば、共産党政権はタリバンの武装も技術も支援した。
    SNS微博のアカウント「手機中国聯盟」の投稿によると、2014年10月26日、ファーウェイは社内メールで、タリバン所属の顧客からのクレームについて報告した。この顧客は、「インターネットが非常に遅いか、まったく機能していない」と状況を述べ、一週間以内に修理しなければ基地局を焼き払うと告げたという。この内容は中国官製英字紙チャイナ・デイリー、観察者網などにも取り上げられた。
    ファーウェイ、2社のペーパーカンパニーを通じて制裁対象国と取引
    ファーウェイは、電気通信システムを過激派テロ組織タリバンに販売するのみならず、米国が取引を禁止しているイランとシリアにも商品を輸出していることが明らかになった。
    ロイター通信は1月8日、ファーウェイは、対イランとシリア禁輸制裁を回避するために2つの実体のないペーパーカンパニーを経由して取引したと報じた。1社は香港拠点のスカイコム・テック、もう1社はモーリシャスのカニクラ・ホールディングス。
    2018年12月、米国の要請を受けカナダはイラン制裁違反の容疑でファーウェイ財務最高責任者(CFO)孟晩舟氏を逮捕した。米当局によると、孟容疑者が独立運営と主張する2社は、実際はファーウェイがイランとシリアとの取引のため、国際金融機関を欺いてパイプ役を担っていたという。 
    表面上、ファーウェイと2社は関連がないが、ロイター通信は、スカイコムイラン支店の責任者はファーウェイの幹部でソフトウェア商業部代表Shi Yaohong氏であるとの文書などの証拠を入手した。2012年6月、Shi氏はファーウェイ中東担当代表に就任した。
    また、華為とスカイコムがイランで開設した銀行口座は、共通する中国名の個人3人が署名権を持っている。さらにロイターの取材で中東の弁護士は、華為がシリアでカニクラを通じて事業を運営していたと話した。
    米国はファーウェイに対して厳しい措置を打ち出している。ウォール・ストリート・ジャーナル1月10日付によると、シリコンバレーを拠点とする同社子会社が開発する技術の一部を中国に輸出できなくなっていると報じた。米商務省が安全保障上の懸念から許可しなかったためだ。同社は市場開拓向けの新技術開発と、中国技術輸出および特許申請を行っていた。
    (翻訳編集・佐渡道世)




    | author : 山龍 | 12:02 AM |
  • 時事
    下記はイギリスのエコノミスト誌の記事です。日経新聞社が買収した後も、日経とは違い
    高いクオリティを維持しており、日経の社員は「うちの子会社」って思ってるのかも
    しれませんが、中身は雲泥の差




    ファーウェイにみる米捜査の威力(The Economist)
    2019/1/23
    カナダのバンクーバー空港で国際的なもめ事が発生するのは意外かもしれない。だが昨年12月1日、同空港で乗り継ぎをしていた中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の最高財務責任者(CFO)であり、同社創業者の任正非氏の娘、孟晩舟氏がカナダ当局に逮捕された。同氏の逮捕を要請したのは米検察当局で、同社が米制裁下のイランと取引しているという疑惑を捜査中だった。これを受けて中国当局は、カナダ人数人を拘束、今月14日には麻薬密輸の罪でカナダ人男性に死刑を宣告した。
    昨年12月11日にファーウェーCFOの孟晩舟氏は保釈が認められたが…=AP
    孟氏は、中国やカナダの法を犯した罪に問われているのではない。米国は今世紀に入って以降、国境を越えた犯罪の取り締まりを強化してきた。自ら導入した制裁を実施し、貧困国の汚職を減らし、資金洗浄やテロ資金供与に対処すべく、米国から遠く離れた企業やその役員でも起訴できる手法を編み出してきた。孟氏は現在は保釈中で、2月に予定される公判で米国への身柄引き渡しを免れるべく準備しているが、数十年の実刑を受ける可能性もある。
    ■違反企業に「監視団」送り込む米当局
    米国の目的は、ほぼいずれも立派だ。おかげで多くの悪事が明らかになり、防止効果もあるだろう。だが米国が、こうした自国の規範を国外で強要するケースが増えており、それが公正なのかという疑問が浮上している。その法的な網にかかった企業の大半は外国企業で、多くは欧州企業だ。中には米国の制裁がなければイランと取引しても何ら問題のない国の企業もある。したがって、これを米国の金融帝国主義だと非難する向きは、その権力に何とか歯止めがかけられないかと考えている。
    欧州の政治家や財界人は、米国の法律に従わされることにいら立ち、別の魂胆があるのではないかと疑っている。「米国の制裁措置は他国にも適用されるため、欧州企業は最近ますます振り回されている。米国の経済的利益促進に利用されている」と欧州の経団連に相当するビジネス・ヨーロッパのピエール・ガタズ会長は語る。2014年の米ゼネラル・エレクトリックによる仏アルストムのエネルギー部門買収の時のように、米司法の力が国外にまで及ぶことが米企業に外国の競合より優位に働く例もある。駆け引きを重視するトランプ米大統領は、孟氏の法的な扱いを材料に、中国との貿易交渉を有利に進めようとしている。
    米国は、世界経済で中心的役割を果たしているおかげで各国企業の経営に自分たちのやり方を押し付けられるという法外な特権を持つ。中には禁輸対象国と取引しているという理由だけで、米国への輸出を禁じるという制裁もある。他方、企業の収賄の撲滅を目的とする米連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)のように、刑事裁判における起訴に結びつくものもある。
    米国の国外での取り締まり活動はいくつかの要素があいまって可能になっている。一つは、域外適用が徐々に拡大されている点だ。米国の法律は、国外では適用されないというのが前提だが、法の解釈には検察が大きな権限を持つ。米国の法律の対象は、これまでになく広く解釈されるようになっている、と弁護士らは証言する。
    米ドルが世界貿易の中心的通貨であるため、多くの金融取引は最終的にはニューヨークを介すことになる。このことが米検察に捜査に乗り出す根拠となり得るように、米国外の会社役員2人が、グーグルのGメールで賄賂についてやり取りしていれば、米企業が提供するメールサービスを利用しているとの理由から米検察当局が捜査権があると主張できるという。
    グローバル化した金融システムも米国に有利に働く。各銀行は、米検察当局に大きな痛手を負わされてきた。仏BNPパリバは14年、スーダンやキューバ、イランとの取引を仲介したとして89億ドル(約1兆円)の罰金を科され、ドイツ銀行は17年にロシアから流出した100億ドルの資金洗浄に加担したとして、4億2500万ドルの罰金を科された。こうしたことから多くの銀行が、怪しげな顧客との取引はやめておいた方が安全だと判断するのは当然だろう。
    一部の企業や銀行は、起訴を免れる条件として、費用は自社負担だが、米当局に同社の取引を報告する独立した「モニター(監視団)」を社内に受け入れることを余儀なくされている。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、華為技術の不審な取引を米検察に通告したのは、英金融大手HSBCの監視団だった(同行はメキシコの麻薬カルテルが自行のシステムを通じて資金洗浄するのを見過ごしたとして、12年に米政府に19億ドルの罰金を科され、その後、監視団の受け入れに応じていた)。孟氏には、銀行が実質的に制裁を破るよう仕向けたという容疑がかけられているが、華為技術はこれを否定している。
    ■中国企業が対象になるケースは珍しい
    こうした米国のやり方に批判的な人々には、米国が外国企業ばかりを標的にしていると映る。コンサルティング会社フェナーゴによると、米国が資金洗浄や制裁破り、および関連した違反行為により取り立てた罰金250億ドルの4分の3以上は欧州の銀行からだという。1億ドル以上支払った銀行は15ある。一方、同様の行為で米銀行が払った罰金総額は50億ドルに満たない(ただ、米銀はサブプライムローン関連の詐欺などの違反で痛い目に遭っている)。汚職捜査の対象も外国企業が目立つ。FCPAにより最も多額の罰金を科された上位10社のうち、米企業は2社しかない。
    米国が外国に厳しく自国に甘いというのを証明するのは難しいし、正当な理由があるのかもしれない。例えば、スキャンダルまみれのブラジル国営石油企業ペトロブラスは最近、FCPAにより過去最高額の罰金を科されたが、自業自得にみえる。欧州各国は自国企業の汚職を長く見逃してきたし、注意を要する国で事業を展開する傾向があり、それで足をすくわれる可能性がある。これに対し米企業はFCPA規定を徹底して順守していると主張する。一方、華為技術を標的とした今回の逮捕は、中国の大手企業が米国当局に目をつけられた珍しいケースだ(ある欧州企業のトップは、地政学的な要因があると疑っている)。
    イランへの世界的な禁輸措置が解除された3年後に、米国が一方的に制裁を再開したことは、特に欧州企業を怒らせた。仏石油大手トタルや独シーメンスは、欧州企業が長く狙っていた市場での事業チャンスを諦めざるをえなくなったからだ。彼らに同調する政治家は、トランプ米政権が、こうした域外適用を武器に米企業の国外展開を後押しするのではないかと危惧している。独仏は、国が支援する特別目的事業体(SPV)を通して自国企業がイランと取引を継続できるよう模索しているが、なかなか進展はみられない。
    ■最近は各国とも米検察当局に協力
    米国の活動をきっかけに、各国は自国の汚職撲滅活動を改善している。「多くの場合、米国が汚職問題に取り組むのは、他国にその気がなかったり、その能力がなかったりするからだ」とクイン・エマニュエル法事務所のロバート・アメー氏は話す。だが、それは過去の話になるかもしれない。英国は、米連邦捜査局(FBI)出身のリサ・オソフスキー氏を重大不正捜査局(SFO)のトップに据え、企業には長期化する裁判を戦うのではなく、米国式の示談に応じるよう働きかけるようになった。また、シンガポールからフランスまで各国の汚職担当調査官らは、米汚職担当者らと協力するようになった。その見返りに、企業から取り立てた罰金の一部を受け取っている。相手に勝てないなら仲間になれ、というわけだ。




    アメリカの捜査当局が剛腕なのは今にはじまったことではなく、パックス・アメリカーナ
    でやってきた戦後の歴史そのものです
    日本もアメリカに頼っています。例えば、中国のサイバー攻撃に対し日本の外務省は
    12月21日に下記の談話を発表しましたが、多くはアメリカの捜査当局に報告し
    善後策を練るという有様なのは、日本にインテリジェンスがなく平和ボケした国家体制
    故に対応できないからで、上記のエコノミスト誌の文面にあるように、「多くの場合、
    米国が汚職問題に取り組むのは、他国にその気がなかったり、その能力がなかったりする
    からだ」という事です
    まずは9条でなくても憲法を改正し、常時、憲法論議ができる土壌を作り、安全保障に
    まつわる事項の醸成が必要で、それができなければ他国の信頼も得られない時代に
    なるでしょう。『日本はダダ洩れ』って思われてるんですから


    中国を拠点とするAPT10といわれるグループによるサイバー攻撃について
    (外務報道官談話)
    平成30年12月21日
    1 サイバー空間の安全は,我が国を含む国際社会の平和と繁栄を確保する上で極めて重要です。
    2 こうした中,12月20日から21日(現地時間)にかけて,英国及び米国等は,中国を拠点とするAPT10といわれるサイバー攻撃グループに関して声明文を発表しました。我が国としても,サイバー空間の安全を脅かすAPT10の攻撃を強い懸念をもって注視してきており,サイバー空間におけるルールに基づく国際秩序を堅持するとの今般のこれらの国の決意を強く支持します。
    3 我が国においても,APT10といわれるグループからの民間企業,学術機関等を対象とした長期にわたる広範な攻撃を確認しており,かかる攻撃を断固非難します。
    4 中国を含むG20メンバー国は,サイバー空間を通じた知的財産の窃取等の禁止に合意しており,国際社会の一員として責任ある対応が求められています。
    5 今後とも,政府として国内のサイバーセキュリティ対策の徹底に関する注意喚起を実施する予定です。
    6 我が国としては,今後も,国際社会と緊密に連携して,自由,公正かつ安全なサイバー空間の創出・発展のための取組を進めていきます。






    | author : 山龍 | 12:00 AM |
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