山龍ブログ - 誰にも文句言わせへんで!コラム

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    一昨日のブログを少し詳しく

    MMT(日本語で言うと現代貨幣理論)という言葉が、最近、新聞やテレビでも取り上げられるようになってきました。そうした報道を見ると、政府が膨大な借金を抱えても問題はないと説いている「理論」です

    この考え方は、アメリカの主流経済学者からはもちろん批判されています。文献を読んでみましたが、さっぱり意味不明(笑)。通常、経済理論は、誤解のないように数式モデルで構成されているのですが、MMTには雰囲気などの‟空気感”の記述ばかりで、まったく数式モデルがみあたりません。アメリカの主流経済学者もおそらく同じ感想で、論評する以前の問題だろうと思われます。一般の人は、新聞やテレビで見聞きするだけですから数式の有無は関係ないでしょうが、専門家の間では問題です。例えば、アインシュタインの相対性理論を数式なしで雰囲気で説明することはできますが、数式なしでは正確なGPSも作れません。

    一方、国内では、アベノミクスをはじめ、現政権やそれに協力する者や経済学者リフレ派と呼ばれています。ここでも何度も、統合政府では財政再建の必要性はないとか、インフレ目標までは財政問題を気にする必要はないなどと主張してきました。

    リフレ派というのは、今から二十数年前に萌芽があり、世界の経済学者であれば誰でも理解可能なように数式モデルを用意してきた特徴と実績があります。先に日銀副総裁を退任された岩田規久男編『まずデフレをとめよ』を読めば、数式モデルは、(1)ワルラス式、(2)統合政府、(3)インフレ目標で構成されています。

    これらのモデル式から、どの程度金融政策と財政政策を発動するとインフレ率がどう変化するのかが、ある程度定量的にわかるようになっていて、この20年は財務省のように‟ハズレ”はありません。この定量関係は黒田日銀でも採用されています。

    リフレ派は数式モデルで説明するので、アメリカの主流経済学者からも批判されず、スティグリッツ、クルーグマン、バーナンキらからは概ね賛同されています。

    しかし、日本では今回のようにリフレ派の主張は、MMTの主張と混同されたりします。MMTでは数式モデルがないので、どのようにして結論が導き出されるのかも意味不明であるのに。

    一昨日の冒頭で紹介した新聞報道の中で、「日本政府の借金が仮に5000兆円になっても全く問題ない」という件があります。リフレ派の数式モデルでは、そうなるとインフレ率1000%程度になり、大問題、まるでベネズエラの経済のようです(笑)。それを指摘すると、MMT論者はインフレになるまで借金をするという意味だと論理のする替えを主張しますが、これもおかしい話しです。インフレ目標2%以内という条件なら、借金5000兆円になるまでは数十年の歳月を要する話で数字があまりに非現実なのです。

    もっとも、視点を変えると、財務省にとっては日本でMMTとリフレ派が混同されるのは好都合でしょう。MMTはアメリカ主流経済学者が否定し、しかも定量的な議論に弱い。つまり、財務省にとっては突っ込みどころ満載で、MMTと財務省の主張を対比すれば、『非論理的vs経済音痴』(笑)。

    一方、リフレ派の議論は、アメリカやヨーロッパの主流経済学者も賛同していますし、定量的な議論の上に、財政再建は終わっているとかIMFも認めているとか、とかく財務省にとって目障り極まりないはずです。

    財務省からみれば、MMTを潰せば、リフレ派も自動的に抹殺できると思っているフシがありますが、それをマスコミも増長させています。現在の財務省にとっての最大の悲願は、今年10月に予定されている消費増税を、何がなんでも実施することです。国内・世界経済情勢は、先行き不安があり、消費増税には不利になりつつある中で、財務省は消費増税のために理論武装が弱いMMTを標的にし、それとともにリフレ派も葬り去りたいのでしょう

    ただ、財務省や財務官僚は個別に見れば脆弱で、世間が思うほど優秀ではありません。東大文Ⅰをトップクラスで出て、何故ああなるのか不思議ですが、財務省の強さは「諦めない継続性」にあります。どこまで行っても、誰かが捕まっても、とにかく諦めない。その執念にも似た行動と傘下に国税庁を持つという力の源泉が、自民党税調のような議員を実質束ねているのです




    | author : 山龍 | 01:18 AM |