山龍ブログ - 誰にも文句言わせへんで!コラム

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  • 時事
    米中関係が貿易戦争の態を成し、自民党の総裁選がひと段落したこの時期に
    安倍総理は日米首脳会談と国連総会のため訪米、そのあとAPEC、訪豪です

    リーマンショックから10年経ち、次のバブルはどこか、どこが弾けるのかという時期に
    差し掛かりましたが、何年も言っている通り、次のバブル崩壊は中国です
    トランプ氏のブレーンもバブルとバブル崩壊が周期的に訪れることは認識しており
    そのターゲットの一つである中国経済への不信が引き金になり、中国をターゲットとして
    準備し、今回の米中貿易戦争になりました

    マスコミは「中国による知的財産権の侵害を理由に、トランプ大統領が制裁を課した」と
    原因を報道しているものの、いったい、どれほどひどい侵害なのかについては、ほとんど
    報じられていません
    包括的なホワイトハウスの報告書を見ると、米通商代表部(USTR)の報告書には
    「1974年通商法301条に基づく、技術移転、知的財産、技術革新に関する中国の行動、
    政策、慣習に関する調査報告」と長いタイトルが付いた報告書があり、215ページもある
    分厚いものです
    USTRは1年前の2017年8月18日に調査に着手し、18年3月に公表していますから
    WHのHPから見ることができます
    米企業や政府関係者、大学やシンクタンクの研究者らからヒアリングした結果が網羅
    されています

    報告書は、中国政府や中国共産党が中国に進出した米国企業が保有する技術や知的財産を
    中国に移転するために、さまざまな圧力と脅迫をしてきた実態が明らかにされています
    圧力と脅迫の中には、不透明で裁量的な政府の取り扱いや出資制限、調達制限、明文化
    されていない暗黙の規則、中央政府や地方政府の指示、命令はもちろん、サイバー攻撃に
    よる不法な知的財産の窃盗も含まれます
    米国は政府間協議で中国に是正を求めましたが、中国はその都度、是正を約束したものの
    約束履行に及ばず、その数は2010年以来、16年までに延べ10回の司祭が報告されて
    います。16年の米中首脳会談では、習近平国家主席自身が当時のオバマ大統領に「中国で
    ビジネスをするのに知的財産や技術移転を求めない」と明言しましたが、中国の行動は
    その後も変わりませんでした

    トランプ政権はそんな中国の態度に業を煮やし、次のバブル崩壊へのターゲットとして
    準備万端整え今回の制裁に踏み切ったのです
    USTRの報告書で興味深いのは、中国に進出した米企業関係者らの証言です
    彼らは「10年以上も」中国でのビジネスと引き換えに技術移転を求められ、拒否でき
    なかったと記してあります
    理由は、断れば中国に報復され、中国でのビジネス機会を失う羽目になるからです
    たとえば、ある企業関係者はUSTRのヒアリングに対して「米企業はこの問題について
    脅迫され、黙っているしかなかった。とりわけ、中国にいる限りはそうだ。彼らは中国の
    強力かつ不透明な規制制度によって、罰を受けることを覚悟せざるを得なかったからだ」
    と証言しています
    別のソーラー企業関係者は「自分たちが直面したのと同じように、多くの会社がサイバー・
    ハッキングと技術の盗難に直面している。だが、販売の落ち込みと中国による報復を恐れて
    公にする訳にはいかなかった」と書かれています
    報告書は「米中ビジネス協議会(U.S. China Business Council)によれば、会員企業は報復
    の心配なしに中国の権利侵害や決定変更を訴える信頼できるチャネルがなかった」とも
    記しています

    今回、中国の行為を公にした背景には、トランプ政権下でUSTR自身が独自に始めた調査
    言い換えると、オバマ政権下では調査をしてこなかったという事実があります(日本も
    そんな調査はしてませんが(笑))
    企業側は米政府の後ろ盾を得て中国の報復を心配することなく、事業遂行に関わる内部
    情報をUSTRに提供することができました
    その点も報告書の冒頭に書かれています

    この程度の情報は、政府でなくともホワイトハウスのHPを見れば日本の記者でも
    手に入れられますし、アメリカのメディアならなおさらです
    マスコミの問題点は、中国から強制的な技術移転や窃盗の被害を被ってきたのは、米企業
    だけでなく日本企業も同じはずであり、日本のマスコミはそうした実態を報じていません
    マスコミが報じない1つの理由は、当の日本企業が報復を恐れて外部に口をつぐんできた
    からでしょうし、米企業と同じように「中国政府にひどい目に遭わされる」と分かっている
    から、マスコミの取材には応じられず、広告主でもある企業に配慮して報道しなかった
    のでしょう
    もっと大きな理由は、日本企業に対する圧力や脅迫を報道すると、当のマスコミ自身が
    中国に報復されるのを恐れたからで、取材拒否や支局閉鎖に発展しかねない事態を考え
    保身に走っているのです

    USTR報告を武器にトランプ政権が始めた対中貿易戦争は、日本企業の長年の鬱憤を
    晴らす側面があります
    中国とビジネスをし苦虫をかみつぶしてきた企業は拍手喝采と同時に、それでなくとも
    実態が見えない中国経済の崩壊への心配をしています
    トランプ政権が勝って、中国が脅迫と窃盗行為を止めるなら、日本企業にもプラスで
    しょうが、事はそんなに単純ではありません
    貿易戦争の激化をみて、中国に進出した日本企業は生産拠点の移転や日本回帰に動いて
    いますが、そういう合理的な選択ができるなら、なぜ中国の振る舞いについて口をつぐんで
    いたのか、企業とマスコミは説明が求められるでしょう

    保護主義の被害と、日本企業の強制的技術移転や窃盗阻止から得られる利益のどちらが
    大きいか。それが今回の日本の思慮するところです
    とはいえ、日本とアメリカは共同体でお互いをカバーし合うという安倍総理とトランプ
    大統領の信頼関係があり、米中貿易戦争で米国が勝てば、日本は勝者の利益にタダ乗りし
    中国が米国債を放出すれば日本が買い支えることで米経済の落ち込みを防ぎます
    ただ、黙って、ご都合主義で動いているのではないのです
    そこに先日の『トランプ氏は真珠湾攻撃を忘れない』という寝ぼけた報道がありました
    トランプ米大統領が6月の日米首脳会談で安倍晋三首相に対し、日本の通商政策を
    めぐり「真珠湾攻撃を忘れないぞ」と発言したと米紙ワシントン・ポストが報じ
    それをそのまま日本のマスコミが報道したのですが、現在のワシントンポストや
    ニューヨークタイムズが、自社の理念を通さんがために捏造記事を繰り返しているのは
    日本のマスコミもわかっており、それに便乗する同罪を犯しています
    しかし、発言があったのは首脳会談の場ではなく、日時や場所、文脈も全く異なります
    ワシントン・ポスト紙では、安倍総理が6月7日にホワイトハウスを訪れた際に、トランプ
    氏が真珠湾攻撃に触れた後、米国の対日赤字について激しく非難したと報道していますが
    実際は、真珠湾への言及があったのは4月18日に、米南部フロリダ州で両首脳がゴルフを
    開始する場面で、トランプ氏は「日本は、米国をたたきのめすこともある強い国じゃないか」
    と真珠湾攻撃を持ち出してジョークを述べ、日本を脅かしたり不快感を示したりした
    わけではなく、むしろ日本を称賛する会話でした
    ワシントン・ポスト紙の報道を受け、日本国内では「(日米関係はかつてないほど強固と
    いう)首相の訴えの信ぴょう性が揺らぐ」(時事通信)、「対日貿易赤字の削減を目指し
    圧力を強める狙いがありそうだ」(共同通信)などといった報道が相次ぎました(笑)
    日本側で記事を勧めたのはロイターの田巻です
    また、安倍総理と自民党総裁選の最中の石破氏は講演で「友情と国益は別だ」とくぎを刺し
    国民民主党の玉木共同代表はツイッターで「良好に見える安倍トランプ関係だが冷却して
    いるという」とアップしてました
    こういうのを『塵夢中』というのでしょう(笑)
    結果が全て物語っています


    | author : 山龍 | 12:00 AM |