山龍ブログ - 誰にも文句言わせへんで!コラム

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  • 時事
    昨日の米朝会談中止の発表を予測していなかったマスコミは
    トランプ大統領が仕掛ける貿易の是正行動も理解していません

    WTOという世界貿易機構はジュネーブにあります
    今回のアメリカの関税措置や米朝会談中止、イラン核合意破棄などは
    ワシントンージュネーブ―東京というラインで構成されています
    国連と同じくWTOも官僚組織で、組織の弊害が目立ってきました
    トランプ大統領の、一方的とされる関税措置などはWTOに提訴すればいいじゃないかと
    思われる方も多いでしょうが、提訴に漕ぎ付けても結審するまで数年かかり
    結果が出るころには政治決着がついていて意味がありませんし
    それを利用して中国は世界中に迷惑をかけまくっています

    現在、トランプ政権は、自国政府の不利益になるようなWTOルールの解釈を
    導く紛争処理裁定は今後必要ないと、WTOに対して圧力をかけています
    トランプ大統領は、WTO裁定手続きの控訴審にあたる上級委員会で
    すべての新たな裁判官の指名に対して拒否権を発動し(笑)
    事実上、WTOの機能を危機マヒにしています
    トランプスタイルに忠実な米国のデニス・シアWTO大使は
    WTOの最高裁とも言える上級委員会を機能不全な状態にまで
    縮小させていることに対して、後ろめたさを感じてる様子はありませんし
    日本のジュネーブメンバーも、経産省や財務省の意向を無視して応援しています

    「米国は、この機関の現状に満足することを良しとしない」とシア米国大使は
    他国のWTO大使らに述べ、「米国が今後WTOにもたらすリーダーシップは
    より強力で実効性があり、政治的に持続可能な組織の実現に向けて
    結果として率直な物言いや、必要な場合には破壊的な行動を伴うことになるだろう」と
    宣言しました
    トランプ大統領は、米国企業や労働者に不公平な形で不利益をもたらすとみなした
    条約や通商慣行と戦うために、世界貿易戦争も辞さない構えだと言う姿勢を
    WTOの委員会の場でも明らかにしたのです

    中国での過剰生産を理由に、世界中からの鉄鋼やアルミニウム輸入製品に
    対して関税を課し、その後も矢継ぎ早に関税措置を発表しています
    1995年の設立以降、WTOは500件以上の国際的な通商紛争を取り扱い
    加盟国は世界貿易の95%に携わっています
    世界貿易規模は物品に限っても、年間18兆ドル(約2000兆円)と
    WTO設立当初の3倍に膨らんでいるのです

    当然、組織やルールの改正が必要でしたが、官僚組織と言うのは
    保身が第一ですから改革などを行う気がありませんでした
    トランプ政権は、自らの権限を越えた判断を下そうとする無責任な裁判官を
    抑えこみ、改革の必要性を感じているとされています
    しかし、米国の振る舞いについて、他の国は、貿易紛争を交渉によって
    解決するよりも、事案の中身に関係なく、より強い国が勝つのが通例だった
    WTO以前の世界に戻ろうとする意思を感じ、組織的な脅威と見なしています

    トランプ大統領は今年、鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に加え、中国による
    米国の知的財産侵害に対する報復として1500億ドル規模の関税を
    課すと表明して国際的な反発を呼んでいる最中です
    どちらも、WTOの紛争解決手続きに持ち込まれる可能性があります
    しかし、上級委員会の無力化は紛争解決手続きの導入以前の時代に
    単純に戻ることを意味しません
    その代り、敗訴した側が上訴すれば、紛争は宙に浮いた状態になるでしょう
    また、ルールが守られる見通しが立たなければ、新たなルールを交渉する
    意味も意義もなくなります

    「上級委員会の麻痺(まひ)は、多国間の貿易システム全体の継続的な運営に
    長く深刻な影を落とすだろう」と、委員会が警鐘を鳴しますが
    トランプ氏から見れば、どこ吹く風でしょう
    リベラルから見れば、トランプ大統領のやり方は『パワー倶楽部』的でしょうが
    民主主義に付け込んで覇権を狙う中国の頭ををさえる方法は他に考えにくく
    オバマ前大統領のように、話し合いを模索すれば出し抜かれるだけですから
    一時、力による圧力を使うことは、将来への布石を打つ時間が稼げます

    無論、日本は今回の件もジュネーブで下準備をしアメリカと同調しています
    そういう事を調べもしないで、入ってくる情報に右往左往する日本のマスコミは
    昨日発表になった自動車の関税でも空騒ぎをするでしょうが
    今、日本とアメリカはタッグを組んで中国の封じ込めをしているのが分かっていれば
    中長期的に害がないことくらいわかりそうなもんですが・・・
    これだけ世界が動いていても、モリカケや日大でワイドショー張りの低俗ニュースしか
    報道できないって、これは国民の不幸でしかありません

    あ、そうそう。IMFが今回の件に異論を唱えていますが、WTOが済めば
    次のターゲットはIMFですですから、米政府のみならず日本政府も
    財務省の利害と不一致なのです(笑)

    | author : 山龍 | 01:09 AM |