アーティザン「匠」 - 山龍作品に見る職人技の妙

140の楽器が奏でる協奏曲

すくい織

すくい織は本綴織(ほんつづれおり)と同じように、舟形の杼(ひ)という、ミシンのボビンと糸通しが一緒になったようなものに巻かれた緯糸(よこいと)で、経糸1本1本をすくうようにして織り上げていく技法です。色の切り替えの部分に、糸の折り返しによる「把釣孔(はつりこう)」とよばれる隙間ができることなど、その特徴は、ほとんど本綴織と同じですが、違いは、杼だけで織るかどうかということにあります。すくい織は必ず杼を使いますが、本綴織の場合は、杼に巻くことのできない本真綿などの場合、竹べらを使ったりします。

また、本綴織の場合は、8寸間に480本の経糸が並びますが、すくい織の場合は、杼のサイズに合わせて、経糸をすくいやすいように、経糸の本数を減らすのが特徴です。そのため、本綴織のようなシャープな線は表現できませんが、独特の柔らかな織り柄の表情が特徴です。

本綴織が、紀元前から伝わる最古の織物であるのに対し、すくい織りは戦後に日本で考案されたものです。

すくい織着物『遠山』
すくい織着物『遠山』(すくいおりきもの『とおやま』)

山並みの陰影を、すくい織で表現した作品です。微妙な緯糸(よこいと)の色合いの変化で、表情豊かな仕上がりになっています。

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